「体力、胆力、判断力、断行力、精力、能力。六つの力の内容量を豊富にしろ」と著者は言う。
そして、常日頃から、観念要素の更改をすることを訴えかける。
「今日一日、怒らず、怖れず、悲しまず、正直、深切、愉快に、力と勇気と、信念とをもって自己の人生に対する責務を果たし、恒に平和と愛とを失わざる、立派な人間として活きることを、自分自身の厳そかな誓とする」
また、他の書籍に於いては、精神面に関する記述のみのものが多いが、本書では、珍しく食事療法などについても述べられている。
さらに、題名に「心身統一法」とある通り、神経反射の調節の方法としてのクンバハカや、呼吸法であるプラナヤマなどの、身体を使った感応性能の積極化を図る方法についても記されている。
とにかく、著者の強調していることは、「積極精神の養成」である。
心に従いながら、がむしゃらでもいいからファイト。
目的を定めず。
グズグズ躊躇ばかりしていたら、進歩も発達もない憐れな自己が出来上がるだけ。
ベストを尽くせ。
自分の気持ちを検査し、人の言葉に左右されるな。
人に対する態度はあくまで積極的で。
心を打ち込んで何事かをする習慣をつけると、今までとらわれていたはずのものが、向こうから出ていってしまう、振り落とされちまう。
そして、正義の実行。
中村天風の言葉は力強い。いつもエネルギーがみなぎっている。
尚のことその様に感じることができるのは、講演録だからこそだ。
私も、クンバハカについては意識して行う様にしている。
ただ、つい忘れがちになるので、時折どれでも良いから著者の本を読み返すことが肝要だ。