HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】『どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール』

著者は、マッキンゼー、グーグル、楽天リクルートと転職を重ねてきたIT評論家である尾原和啓さんだ。

この経歴を聞くとさぞかし凄い方かと思われると思うが、凄い方なのである。

とにかく、著者は情報収集能力とその情報をストーリーに載せて説明する能力が異常に高い。
本書はそんな尾原さんのキャリアについて本だ。

本書には様々なキャリアについての考え方や物事の捉え方が出てくるのだが、皆さんと共有したい言葉がある。

それは『ラショネール』という言葉だ。

これは「自分がなぜそれをするのか」を合理的に説明できることを指す言葉である。

この言葉の意味を理解し、実際にアクションできれば、「必ずどこでも誰とでも働ける」

是非読んで、「どこでも誰とでも働ける」感覚を身に付けて、ガンガン働いてほしい。

 

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【書評】100年前の言葉『働く理由』

『生きるために働く必要がなくなったとき、人は人生の目的を真剣に考えなければならない』
これはイギリスの経済学者ケインズが1930年に出した「100年後の予言」です。
現在、BIの導入も検討され、この予言通りに時代が進んでると考えられます。「経済的に豊かになること=幸福」という価値観を共有できなくなってきています。

『金は食っていけさえできればいい程度にとり、喜びを自分の中に求めるようにすべきだ』
これは作家の志賀直哉の言葉になります。お金を稼ぐのは、ある大きさのパイをみんなで奪い合う「ゼロサム型」であるが、仕事を通じて得られる喜びを増やしていくのは、パイ自体をどこまでも拡大していける「プラスサム型」です。

『最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく可能性は高くない。しかも、得るべきところを知り、自分に向いた仕事に移れるようになるには数年を要する。』P・Fドラッガー
『一生のうちでいちばんたいせつなことは、職業の選択である。ところで、それを決めるのは、偶然なのだ。』パスカル『パンセ』(白水社
なぜ、自分はこの職業を選んだのか?その問いに対して誰が明確に答えられるのでしょうか。

「『まず、はっきりした職業の目標を持ちなさい。そうしなければ、やる気は湧いてこないものだよ』私はこうした考えを正しいとは思いません。これを恋愛に例えるとどうでしょう。『まずは未来の配偶者を決めないと、デートを始めることもできない』といったことになるのでしょうか。これではナンセンスです。」ジョン・クランボルツ

本書に記載されている言葉は、簡便ですが多くの含みを持たせ、様々なことを気づかせてくれます。『仕事』に対する解釈を多くの人々から授けられることでしょう。過去の偉人は未来のことも見据えていたと本書を読んで気づかされました。

 

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http://m.himalaya.fm/jp/episode/205469/6469935/2

 

働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。

働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。

 

 

 

続・働く理由

続・働く理由

 

 

【書評】「本が人になった!」アリストテレスが現代に『振り向けば、アリストテレス』

アリストテレスは、プラトンソクラテスと共に西洋最大の哲学者の一人で「万学の祖」とされている。現在の学問のほとんどはアリストテレスの哲学の範疇とされるほどの偉大な人物であるにもかかわらず、著者の言うように日本ではあまり知られていない。

その理由は、アリストテレスの哲学は「人生の必須教養」ともいうべき存在であるにもかかわらず、彼の著書は用語が難しく人にも勧めにくいと著者は言う。そのため、本書では、「アリストテレスが、もし日本で生きかえったら」というフィクションの元に小説という新たなスタイルでアリストテレスの哲学を伝えている。

本書では、アリストテレスの著作『アリストテレス全集』よりストーリがつくられている。

『ニコマコス倫理学』美しい愛
『弁論術』プレゼン力
政治学』市民を幸福にする政治
詩学』泣ける小説
『問題集』自然現象、人間心理
形而上学』万物の存在

各分野のアリストテレスの著作から重要箇所を用いて、悩める人々の問題を現代の日本に現れたアリストテレス自身が解決していくというとても凝った内容だが、分かりやすくまとめられている。

また本文中、随所に著名作家の作風が感じられる文章が用いられ、本書を読み進めながらも「この文章はあの本の~」というように、本好きにはたまらない工夫がなされている。多くの本を読んでいるつもりであったが、このようなタイプの本に出会ったのは初めてで、著者の別の本も読んでみたいと思った。また、本書によりアリストテレスの哲学を知り、実際の著作も確認してみたいと感じられる内容であった。

そして、本文中の最大の謎は「なぜ、本の中に本があるのか?」ということだ。文章で説明してもなかなか理解しづらいだろうが、読み進めていくと徐々に謎が解き明かされる。そんな仕掛けも本書にある。読んだ人にしかわからないような、面白みがある本であることに間違いはない。

 

[音声で聞く]

http://m.himalaya.fm/jp/episode/205469/6469938/2

 

振り向けば、アリストテレス

振り向けば、アリストテレス

 

 

【書評】仕事で悩んだときに本書を開いてみてください。『スターバックスCEOだった私が社員に贈り続けた31の言葉』

拝啓 がんばっているあなたへ
毎日、仕事で忙しいでしょう。遅くまで大変ですね。そんなに熱心に取り組める仕事に出合えたなんてすごくラッキーなことです。
 
ただ、ふとしたときに「このままでいいのかな」と思うことはありませんか。
何のために、こんなに働いているのだろう。自分はいったいどこにいこうとしているのだろう、と。

本書の冒頭はこのような文章で始まります。各項目は手紙形式で表されており、相手は現在35歳でディストリクトマネージャーを務めているハタ君という人物であり、彼の現状や悩みに対して具体的なアドバイスを贈っています。

第1章「キャリアに迷っているあなたへの8つの言葉」
第2章「教える相手を持ったあなたに贈る11の言葉」
第3章「失敗して時に読んでほしい5つの言葉」
第4章「人間として成長するための7つの言葉」
といった構成になっています。

リーダーも新人もミドルも全員に対してメッセージがあり、悩んだときに助けてくれる一冊となっています。特に評者が面白いと思ったメッセージで「いつでも会社を辞めれるように貯金は今からでもしなさい」という言葉があります。
これはある女性がハーバード大学を卒業するときに教授から「ビジネスの世界で生きていくのであれば、まずは貯金をしなさい。」とアドバイスされたことが由来です。この「貯金せよ」の意味は「会社に隷属しないための後ろ盾とせよ。」という意味でした。「貯金をしておけば己の信念を曲げることなく、会社に隷属しなくて済む。」これは自分のミッションに正直に生きることができるということです。

「もし君が自らの人生計画の空白を埋めないならば、おそらく君は他の誰かの人生計画に組み込まれてしまうことになるだろう」

本書を読むことで、読者の皆様も新しい気づきをもたらすメッセージと出会えると思います。

 

[音声で聞く]

http://m.himalaya.fm/jp/episode/205469/6469936/2

 

スターバックスCEOだった私が社員に贈り続けた31の言葉 (中経の文庫)
 

 

【書評】あなたは「会社」を頑張っているのか、「仕事」を頑張っているのか?『会社で不幸になる人、ならない人』

著者から見て、かつての同僚や先輩、後輩、上司を何十年後かに振り返った時、現在幸せになっている人は、昔から会社員としての思考、行動原理、習慣が正しい人であった。幸せになる人は「やるべきこと(あるいはやってはいけないことをやらなかった)」、不幸な人は「やってはいけないことをやっていた(あるいはやるべきことをやっていなかった)」と考えられます。

では、どのような思考で、どのような行動原理で、どのような習慣で会社生活を送るべきか?本書は会社員が陥りやすい36の「勘違い」をリスト化して構成されています。

「社内政治や根回しはスキルのひとつ」、「給料の高い会社を選ぶ」、「会社選びに福利厚生は重要だ」などが「勘違い」として本書に挙げられています。

今後、重要なことになるのは、会社に依存しないことが前提として挙げられます。社内政治に勤しむということはその会社のみで通用するルールを覚えることであり「無駄」です。「仕事」を頑張っているのか「会社」を頑張っているのかと考えた時に、優先すべきはどこで誰を相手にしても通用する「ポータブルスキル」になります。この先、潰れるかどうか分からない会社にしがみつくよりも、「自分のスキルを向上させるためにこの会社で働いている」と再確認すべきです。そうすると、会社選びは自ずと「自分の成長」が目的となり、「こちらがお金を払ってでも働きたいと思える会社を選択する」ことを優先すべきです。会社という小さなコミュニティでそこでしか通用しないような「小さな思考」生きるよりも、多くのコミュニティで生きるべきであると考えます。単一のコミュニティで生きることは非常に不安定です。今のコミュニティが無くなっても生きていけるように準備をしましょう。

若いころの数十万、数百万くらいの年収格差など後からいくらでも取り返すことができます。
皆さん、「会社」を頑張って辛い思いをしていませんか?
会社の人間関係を気にしていることは、会社を頑張っている証拠であり、全ての仕事は上司や会社のためでなく自分のキャリア、将来のためにあります。

【書評】読書後のフォロー『レバレッジ・リーディング』

レバレッジとは「てこの働き」を意味しています。レバレッジ・リーディングとは「多読術」を意味し、”本を読んで、そこに書かれているノウハウを自分流に応用し、実践で活用する”ことが、ビジネスにおいてレバレッジをかけるということになります。

ウォルマートの創業者、サム・ウォルトンは「わたしのしてきたことは、ほとんど誰かのまねだ」と言っています。「試行錯誤に時間や労力を費やすことなく、結果を出すために時間や労力を使うべきである。」そのために本を目的意識をもって読むことが重要であると著者は説いています。

読書を投資とみなし、投資した時間とコストを回収するには「読書後のフォロー」を行うことが絶対に必要です。読書をしても忘れてしまうからです。そこで著者は重要な部分をむき出して簡単なメモ「レバレッジメモ」を作り、それを持ち運び何度も何度も読むことをお勧めしています。

とにかく大事なのは、本から得たノウハウをレバレッジメモにまとめ、繰り返し読んで条件反射的に行動できるようにし、どんどん実践で活用していくことです。

「知識に経験が加わってはじめて、物事はできるようになるのです。できると知っているの間には深くて大きな溝があります。それを埋めるのが現場での経験なのです。」
これは稲盛和夫氏の著書「生き方」(サンマーク出版)にある言葉です。

ぜひ、読書後のフォローを書評部で行ってみましょう。皆様、お待ちしております。

レバレッジ・リーディング

レバレッジ・リーディング

【書評】ビジネスの原則を愛をこめて『ビジネスマンの父親より息子への30通の手紙』

著者キングスレイ・ウォードはカナダ人の実業家であり、苦労して大学を卒業した後、公認会計士として6年働き、化学事業を興して成功するも、二度にわたる心臓の大手術を受け死に直面する。そして生きているうちにこれだけは息子に伝えておきたいと願い、息子に30通の手紙を書いたのが本書である。

本書の内容は思いつきではなく、著者が一生をかけて体験したビジネスマンとしての処世の原理原則であり、ビジネスマンが遭遇するあらゆる局面が出てきて、その対応の姿勢が説かれている。

「誠実さの代償」、「経験の重みに代えて」、「部下との衝突」、「読書の価値」、「社員を解雇するとき」など、多彩なテーマで手紙は書かれている。

「読書の価値」では“他人の過ちから学べ。自分ですべての過ちを経験する時間はない。“
「教育の設定」では”読むことは人を豊かにし、話し合うことは人を機敏にし、書くことは人を豊かにする。”とある。

「礼儀正しさにまさる攻撃力はない」という章がある。
人が身につける特質の中で、第一に威力を持つのは知識だが、第二は正しいマナーである。ささいな心遣いで人は好意的に反応せずにはいられない。相手が話をしているとき、それを遮ることなく聞くことは「沈黙は金なり」と表現できる。どのような防御も礼を尽くすことには及ばない。

全ての章に実体験に裏打ちされた言葉があり、きっと読者の問題解決に役立つと思われる。

最後に「人生からの挑戦に対して君がどう対応するか。」“人生が突きつけてくる挑戦に対して、態度を選べる自由を知って、それを行使するならば、君が人生の幸福を勝ち取る率は大きくなるだろう”

“現実の自分が、もしかしたらなれたかもしれない自分に,悲しげに挨拶をする”

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙    新潮文庫

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 新潮文庫

【書評】今を一生懸命に生きる『10年後の仕事図鑑』

本書のタイトルで使われている「10年後の仕事」の在り方を堀江貴文と落合陽一が「なくなる仕事」と「減る仕事」、逆に「生まれる仕事」と「伸びる仕事」をコミカルなイラストと共に2人の視点から語られている。

これからの時代において、「仕事がないから、収入がない」というのは言い訳になる。誰にとっても、仕事は「引き受ける」ものから「作るもの」へと変わっていくのだ。つまり、いかにクリエーティブなことができるかが重要になってくる。

もし今あなたが「今月の給料はいくらだから、そこから必要なお金を引いて、あとは貯金」などと、給料ベースでお金のことを考えているなら、お金の本質は見えづらくなる。大事なのは、「お金」も「価値」も循環させていく、ということだ。

つまり、世の中にお金が回るようにしようという方向に社会が向かえば、借金が普通のことであり、いつでもお金を借りられる人にならなくてはならない。結局は借りられる人が1番強いのだ。だから「隣の家から醤油借りれますか」という理論が成立し、それだけ信用を作っておくべきだという。

また、最近は意思決定能力が低い人が多いという。その背景には教育システムと工業社会的な価値観が原因だ。例を挙げると駅弁を10個買って並べて見るとパッケージが違うのに中身がほとんど一緒なのだ。お菓子のグミも一緒で、ほぼすべてのメーカーが同じ香料と材料で作っており、型だけが違う。というように違う装いをまとうことで違う食べ物になり「選択した」と、錯覚して生きている。

そんな世の中で過ごしていれば、決定的に意思決定能力が失われるのも無理はなだろう。そうやって最終的にはイノベーションを起こせる人もいなくなってきて、イノベーションを起こせる人と、起こせない人との格差がどんどん広がっていくだろう。

オープンイノベーションが当たり前となった世の中では、あらゆるものが価格が下がり、しまいにはタダ同然となりつつあるものもある。またAIが人間の仕事を奪うことは変えようのない事実である。そういった時代背景に「なくなる仕事」と「減る仕事」、逆に「生まれる仕事」と「伸びる仕事」このポイントに今を一生懸命に生きるため指針として人生のグランドデザインを描き直すべきだ。

10年後の仕事図鑑

10年後の仕事図鑑

【書評】「社長を出せ!」は日本人客ならでは『帝国ホテルの不思議』

帝国ホテルは、日本人ならではの気づかいやおもてなしが日々行われ、様々なお客様の要望に対して「ノー」と言わない。また、今では誰もが知る「柿ピー」「バイキング」「サービス料」等多くのものが帝国ホテルで誕生したのは有名な話しだ。本書では、帝国ホテルならではの不思議を探るため、著者が実際に各セクションで働く人々への調査をまとめたものであり、そこには多くの伝説がある。

帝国ホテルとは、元々海外からの賓客を迎えるための国の迎賓館の役割として誕生し、2020年には130周年を迎える。また来日する外国人は、日本人以上に帝国ホテルの格を重んじている人は多いが、その反面、現在では多くの外資系ホテルも建ち並び、格だけでは生き残っていけない時代となったのも事実である。

ホテルの格とは、裏腹にお客様の要望は多岐にわたり、驚きを隠せないような内容も多くあるようだ。

例えば、缶ジュースの缶はどこで買えるか?という缶を作っている工場についての問い合わせや、日本で買ったチワワを自国に連れて帰りたいので、そのための書類手続き。また、お客様の忘れ物を成田空港や、新幹線で大阪まで届ける。

様々なお客様から日々難問が向けられる中、お客様に満足していただくための、帝国ホテル独自のセクションが、数多く存在する。そのひとつが、デューティマネージャーだ。ホテル全般の苦情対応責任者で、総支配人代行もつとめる。30年以上のキャリアがある代表が交代で、24時間勤務する。

お客様が担当部問責任者の対応では、納得できず「社長を出せ!」という状況になってしまった時が「デューティマネージャーの出動」となるそうだ。ただ、その時は問題がすでにかなり複雑にこじれているのだ。

外国人客の場合は、誰が責任者か?できるのか?できないのか?を話せば後腐れもなく終わり、ジェントルマンが多いようだ。問題は日本人客だ。よく聞く「社長を出せ!」というのは日本人ならではあり、その原因は日本人のホテルライフ後進性が感じられるようだ。

それぞれのお客様の期待されるレベルをいち早く見抜き、対処する。これに紙一枚のせたサービスが帝国ホテルのこだわりだという。サービス業のみならず、どのような仕事においても、このような心がけを常に持ちたいと思う。

帝国ホテルは、東京駅から近いという好立地からも利用することは多々ある。そのため本書を見かけた際には、とても愛着がわき、より深く帝国ホテルを知りたい。次回利用時に是非確認したいと好奇心がわいた。また本書を読み、格や伝統だけではなく、すべてのお客様への愛情が感じられた一冊であった。