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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】「社長を出せ!」は日本人客ならでは『帝国ホテルの不思議』

帝国ホテルは、日本人ならではの気づかいやおもてなしが日々行われ、様々なお客様の要望に対して「ノー」と言わない。また、今では誰もが知る「柿ピー」「バイキング」「サービス料」等多くのものが帝国ホテルで誕生したのは有名な話しだ。本書では、帝国ホテルならではの不思議を探るため、著者が実際に各セクションで働く人々への調査をまとめたものであり、そこには多くの伝説がある。

帝国ホテルとは、元々海外からの賓客を迎えるための国の迎賓館の役割として誕生し、2020年には130周年を迎える。また来日する外国人は、日本人以上に帝国ホテルの格を重んじている人は多いが、その反面、現在では多くの外資系ホテルも建ち並び、格だけでは生き残っていけない時代となったのも事実である。

ホテルの格とは、裏腹にお客様の要望は多岐にわたり、驚きを隠せないような内容も多くあるようだ。

例えば、缶ジュースの缶はどこで買えるか?という缶を作っている工場についての問い合わせや、日本で買ったチワワを自国に連れて帰りたいので、そのための書類手続き。また、お客様の忘れ物を成田空港や、新幹線で大阪まで届ける。

様々なお客様から日々難問が向けられる中、お客様に満足していただくための、帝国ホテル独自のセクションが、数多く存在する。そのひとつが、デューティマネージャーだ。ホテル全般の苦情対応責任者で、総支配人代行もつとめる。30年以上のキャリアがある代表が交代で、24時間勤務する。

お客様が担当部問責任者の対応では、納得できず「社長を出せ!」という状況になってしまった時が「デューティマネージャーの出動」となるそうだ。ただ、その時は問題がすでにかなり複雑にこじれているのだ。

外国人客の場合は、誰が責任者か?できるのか?できないのか?を話せば後腐れもなく終わり、ジェントルマンが多いようだ。問題は日本人客だ。よく聞く「社長を出せ!」というのは日本人ならではあり、その原因は日本人のホテルライフ後進性が感じられるようだ。

それぞれのお客様の期待されるレベルをいち早く見抜き、対処する。これに紙一枚のせたサービスが帝国ホテルのこだわりだという。サービス業のみならず、どのような仕事においても、このような心がけを常に持ちたいと思う。

帝国ホテルは、東京駅から近いという好立地からも利用することは多々ある。そのため本書を見かけた際には、とても愛着がわき、より深く帝国ホテルを知りたい。次回利用時に是非確認したいと好奇心がわいた。また本書を読み、格や伝統だけではなく、すべてのお客様への愛情が感じられた一冊であった。