本書では三越伊勢丹流、「仕事のスキル」優れた人に共通する9つの行動が学べる。百貨店とは、ただ単に欲しいモノを手にいれる買い物の場所ではなく、大人も子供も心から楽しめる場所である。
かつては、お子様ランチを食べて、屋上遊園地で遊び、ステージでキャラクターショーを見て、疲れたらソフトクリームを食べて、玩具売り場で、マジックショーをみる。買い物だけではなく、丸一日いても体験型の楽しみがいくつもあり、百貨店に行くこと自体が遊びの一つでもあった。
三越伊勢丹は、呉服商から始まり、創業340年以上の日本で最も歴史のある百貨店だ。当時よりお客様を飽きさせない工夫が随所に見られる。
その代表格として、様々な世界初、日本初がある「世界初の定価販売」「日本初のエスカレーター設置」「日本初のファッションショー」など、最先端を常に発信してきた。「少しでも可能性があれば、新しいことにチャレンジする」これが三越伊勢丹のモットーでもあるという。
しかしながら、ネットで簡単にモノが、購入できるこの時代に、店舗ならではの付加価値がなければ、生き残れない状況になってきた。そこで重要なのが、人にしかできない「心づかい」や「生のコミュニケーション」である。
その一つに、お客様が探しているものに「ない」とは言わない。店舗で扱っていない商品は、売上にならなくても、他店を紹介するという。実際に評者自身、銀座三越で商品の取り扱いがなく、銀座の別の百貨店を紹介された記憶がある。
このような姿勢は「お客様の気持ちに応えたい」「お客様の心を大事にしたい」という思いからの行動だという。なぜなら、従業員にとっては、商品の一つであっても、お客様からすれば、記念のものや、何か思い入れがあったりと「ただ欲しい」というだけではないことが、往々にしてあるからだ。
また、小売り先進国であるアメリカの小売業界では「アマゾンではハグできない」と言われている。これは、アマゾンに対する批判ではなく、人と人との対面で商売を行う小売業界は、通販などにはない価値を大切にすべきではないかということだ。
人と人との接点にこそ価値がある。そこに「日本人らしい心づかいをプラスする」これが三越伊勢丹の考えだ。うれしいとき、悲しいとき、どんなときでもさり気ない心づかいができる。これこそが、日本人の「おもてなし」なのだ。
- 作者: 株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/02/24
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