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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】ホテルにいる全員が仮面を被っている。犯人なのか、お客様なのか、仮面はなかなか剥ぎ取れない。『マスカレード・ホテル』

本書は、東野圭吾氏の作家生活25周年を記念した作品「マスカレード」シリーズの第1作。ホテル「コルテシア東京」を舞台にした連作ミステリー小説である。また、本作は映画化され、2019年1月18日の公開から1週間で100万人を超える観客を動員した。普段小説はあまり読まない方だが、本書は一気に読んでしまうほどの面白さがあった。

事の始まりは、都内で起きた連続殺人事件、次の殺人事件は、10日以内にこのホテル内で起こると予測され、複数の刑事がフロントマンやベルボーイ、客室係に扮し潜入捜査が行われる。

ホテルにいるすべての人は、事件に関係している可能性があるため、刑事たちは常に目を光らせる。捜査を進めれば進めるほど、お客様一人一人には、疑わしい何かが潜んでいる。無理難題を要求してくるのは、犯人なのか。それともお客様なのか。

すべての登場人物は、まさに仮面を被り、姿を隠している。しかし事件の手掛かりは、各事件現場に残された謎の数字のみ、一体どのようにして、新たな殺人事件を阻止することができるのか。

また「マスカレード」シリーズは、累計355万部を突破した人気作品でもある。主人公二人の新人時代に遡るストーリー、第2作『マスカレード・イブ』さらに、警視庁に送られてきた密告状により、ホテル名物、大晦日のカウントダウンパーティー「マスカレード・ナイト」(仮面舞踏会)が舞台となる、第3作『マスカレード・ナイト』と続く。

本作の舞台となったホテル「コルテシア東京」は、日本橋の「ロイヤルパークホテル」がモデルとなり描かれている。著者の作品は、ヒット作『容疑者Xの献身』他、多くが日本橋を舞台としている。

著者は何度も同ホテルを訪れて、ホテルの裏側や内部事情、フロント、ベルボーイについて綿密な取材を行ったことにより、本作は出来上がった。映画では、ホテルの裏側やスタッフ同士のコミュニケーションの取り方など、忠実に再現されているという。ストーリーと併せて注目すべき点でもある。

「マスカレード・ホテル」、「ロイヤルパークホテル」映画とホテル、業界は異なるが、原作の映画化がきっかけとなり「ロイヤルパークホテル」では映画のプロモーションも兼ねて映画「マスカレード・ホテル展」が開催されている。

映画をイメージしたドリンクやデザートを楽しむことができ、また劇中で使用された衣装や小道具が展示されている。これらは「映画」と「ホテル」の両方のプロモーションとなりビジネスの面でも相乗効果が期待される。また、映画を観た後にはぜひ立ち寄ってみたいとも思わせる内容でもある。

原作での内容が映画では、どのように表現されているのか、また「マスカレード」シリーズ第2作、第3作のストーリー展開が益々気にせざるを得なくなった作品である。