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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】古代ギリシャの神殿は、本当は極彩色だった!?『古代ギリシャのリアル』

 日本人にもおなじみの、白亜のギリシャの神殿。
 実はそれが、当時は極彩色で彩色されていた!

 本書の冒頭では、日本ではなんとなく「常識」と思われがちだが実はそうではなかった――というような、古代ギリシャにまつわる幾つかの事柄が取り上げられている。
 例えば神殿の色の問題。では何故今では真っ白なのか? というと、十八世紀中頃から西洋に興った新古典主義の中、当時の西洋人が「文明的」と思っていた西洋主義のルーツとして、古代ギリシャのほうを理想化して近付ける、ということが行われたためだった。
 そのため大英博物館では、元々は彩色されていたパルテノン神殿レリーフを、人々の理想とする単純美の象徴にするため真っ白に磨き上げ、元々の色彩を再現不可能にしてしまったのだという。

 本書ではこのような、日本人の「常識」を覆す知られざる古代ギリシャ文明の実体や、有名な神々の詳細な紹介、また、古代ギリシャ人のメンタリティについても紹介されている。
 例えば「何故最高神のゼウスはこんなに浮気性なのか」という、ギリシャ神話を知れば多くの人が思うであろう疑問。これは当時多くの人々がゼウスを自分たちの祖先にしたがった結果、各地でゼウスが子供を作る神話が多数生まれてしまったためなのだそうだ。

 神話や伝説には、勿論それ自体の魅力がある。
 だがそれに加え、その成立背景にはその当時の社会の状況や人々の思想がある。文化遺産の破壊行為である大英博物館の一件にしても、十八世紀のかれらが「理想の神話」を作りだそうとしたがための事件ともいえるだろう。
 そんな視点を持って文化を見ると、今に繋がる新しい発見がある。それを教えてくれる一冊だ。

古代ギリシャのリアル

古代ギリシャのリアル