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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】お客様の仮面が外れたとしても、気づかないふりをするのもホテルマンの仕事。美人の涙に隠された謎の正体 『マスカレード・ナイト』

本書は2019年1月に公開された映画『マスカレード・ホテル』の続編であり、マスカレードシリーズの第3作となる。シリーズを通して「ホテルコルテシア」を舞台に殺人事件が計画され、警察、ホテル関係者は毎回犯人に翻弄される。

なぜなら、事件は常に巧妙なトリックが仕組まれ、複数の殺人事件が関係しているからだ。そのため、毎回最後まで犯人や犯行の動機がわからず、ハラハラが止まらない。そしてラストでは意外な人物が登場する。

本作では、警視庁へ送られてきた殺人事件に関する密告状がキーとなる。密告状は、ホテルコルテシア名物、大晦日のカウントダウンパーティー「マスカレード・ナイト」に未解決殺人事件の犯人が現れるというものだ。

そのため、第1作の舞台でも活躍した主人公でホテルマンに扮した刑事「新田」とベテランコンシェルジュとなった「尚美」が再び殺人事件解決のために、奔走する。

また、本作からコンシェルジュとなった尚美の元には、多くのお客様が毎回頭を悩ませる無理難題を次々と持ってやってくる。しかし、お客様の無謀な要望にも「ノー」とは言わないのが、ホテルマンのポリシー。それを必死に守ろうと、試行錯誤が続く。この中に事件に関係する怪しい人物がいるのかどうか。ここが、見どころの一つでもある。

シリーズすべてのタイトルともなっている「マスカレード」第1作、第2作では、ホテルではお客様も従業員も「仮面を被っている」と比喩的表現が用いられていたが、本作では、いよいよついに「仮面舞踏会」がメインストーリーとなる。

密告状にあった「マスカレード・ナイト」の参加者は全員仮装をすることになっている。そのため、誰が犯人なのかわからない。素顔がわからない分、誰もがより怪しく見えてくる。雰囲気を高めるために、サービスをする従業員さえも仮面を付けている。犯人は、仮装をしたお客様に紛れ込んでいるのか、はたまた従業員なのか。

本シリーズをすべて読み終え、いずれの作品も登場人物が多く、最後の最後までトリックを暴くことも、犯人を推測することさえも難しい内容であったため、ラストまで気が抜けない興味深い作品であった。

マスカレードシリーズについては、
こちらから

第1作『マスカレード・ホテル』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2019/02/02/220020

第2作『マスカレード・イブ』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2019/02/15/220045


マスカレード・ナイト

マスカレード・ナイト