本書は東野圭吾氏の「マスカレードシリーズ」第2作である。ストーリーは、第1作の『マスカレード・ホテル』で活躍した主人公、尚美と新田の新人時代に遡る。
尚美は「ホテル・コルテシア東京」に勤めて4年になる。第1作『マスカレード・ホテル』では、ベテランのホテルマンであったが、この頃は、幾つもの失敗を繰り返し、本当にプロのフロントクラークになれるのだろうかと思い悩んでいた時期でもあった。第1作に登場する尚美からは、とても想像できない状況である。
ホテルでは、またしても幾つものトラブルが次々と巻き起こる。尚美のかつての恋人がお客様として現れ、無理難題を要求してきたり、覆面作家「タチバナ サクラ」を熱狂的ファンから守ったり、ホテルマンとしての通常業務以外のお客様とのやりとりを日々経験していくことにより、尚美は成長していく。
また、新田は新米刑事でありながらもホワイトデーに発生した殺人事件の解決の糸口を掴んでいき「ルーキー」として、すでに一目おかれる存在となった。第1作を読んだ人なら気になる「尚美と新田」だが、本書では、二人が直接的に関わることはなく、お互いの仕事上のストーリーに留まる。
またエピローグに、前作に繋がる伏線が書かれているため、すでに第1作を読んだ人にとっては、どのような流れでその状況に至ったのかがより理解できるだろう。
シリーズタイトルにもなっている「マスカレード」、お客様の被る仮面を守るホテルマンの「尚美」、犯人の仮面を暴こうとする「新田」、それぞれの登場人物が被る仮面の下の素顔を如何に見抜くことができるのかがストーリーの鍵となる。
第1作では現在の出来事が伝えられ、第2作では過去に戻る。人によっては、時の流れにあわせて第2作から読んだ方がいいのではと考えるようだが、評者は、まず第1作『マスカレード・ホテル』を読むことをすすめる。本ブログ2月2日に書評が投稿されているので、そちらから確認してほしい。シリーズ第3作『マスカレード・ナイト』のストーリーは、どのようなものなのか。とても楽しみである。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/08/21
- メディア: 文庫
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