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【書評】絵本の常識を変えた『えんとつ町のプペル』

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著者が絵本作家としてデビューし、本作は第4作目となり、ついに映画化もされた。絵本の制作には3年半もの長い年月を費やしたそうだが、実は作品のストーリーを描き終わったときには、すでに映画化を考えていたそうだ。そのため絵本は元々のストーリーの一部を切り取り、再編集した映画の「チラシ」であり、「映画用の作品」だと考えたそうだ。

ストーリーや絵の美しさはもちろん素晴らしいのだが、本書では、絵本業界では異例のことをいくつか成し遂げた。まず一つ目に、本書はもちろん有料の絵本だが、同時にインターネットで全ページ無料で公開されている。そんなことをして売り上げはどうなるのかと考える人もいるだろうが、著者の考えは違った。

そもそも絵本の用途は、絵やストーリーを知るためのものであるが、読み聞かせをすることによるコミュニケーションツール、さらにはインテリアとしての要素もある。そのため、内容を公開したことは、絵本購入をする人の立場に立って考えられているため、結果として爆発的な売り上げとなり、この手法は、出版業界では広告戦略の一つとなったそうだ。

さらに、絵本業界の常識を打ち破ったのは分業制で絵本を作成したというところだ。著者が作品を描いていると、映画やテレビ、音楽の世界などはいずれも分業制で作品が作られているのに、なぜ絵本は一人で作るのかという疑問を持ったそうだ。その理由は、絵本の売り上げだけではスタッフを雇えないからだった。そこで著者はクラウドファンディングによりその問題を解決したのだ。

著者は絵本作家になったことにより、多くの人からの反発に苦しんだそうだが、異業種から飛び込んだからこそ、人々とは違った目線で物事を捉え、常識を覆すことができたのだろう。

 

えんとつ町のプペル

えんとつ町のプペル