ペンギンは何匹いたでしょうか?という著者の問いに、今見たばかりの最初のページから全く記憶にない。ペンギンがいたのは記憶にあるが何匹だっただろうか?もう一度よくみてみるとペンギンはわりと目立つところに行列をなし、さらには「ペンギン11ぴきいるよ」とまで書かれていた。
実は絵本を読む時に大人と子供では見るところが異なり、大人は文章しか見ておらず、子供は絵を見るという。大人と子供でそんな面白いやりとりができるように本書は作られたそうだ。他にも仕掛けが幾つもある。泥棒がいたり、警察がいたり、全ページに蟻が10匹いたりと細部までこだわって描かれているため、何度見返してもそのたびにまた新たな発見があるところが本書の面白みだ。
また、メインキャラクターでもあるパンダについて著者が調べてみると動物園での飼育量がものすごく高くかかり、いわゆる「ボンボン」のようだと思い、そこから「パンダはかわいいから何やってもゆるされる」とひらめき、パンダがいたずらするストーリーが誕生した。しかし、重要なところはいたずらという間違えをしてしまった時の責任の取り方について著者に起こった出来事を反映し伝えたかったそうだ。
絵本作家を目指していた時、著者は売っている絵本6000冊を全部読み研究するほど絵本を描くことが好きで好きでたまらないそうだが、本書を描いていた時期は一生で一番辛く仕事も無くなった。だが、たくさんの人から応援してもらい、友達ができ、そんな素敵な人と出会うために辛い思いがあったのではないかとも思えたそうだ。つらく、悲しく、カッコ悪くてもやり続け出来上がった本書は誰の目にも間違いなく美しく見えているに決まってる。