著者は吉本興業のお笑いコンビ、キングコングの西野亮廣氏。
累計発行部数70万部を記録した絵本『えんとつ町のプペル』の脚本・監督を務めている人物。
この書籍は、絵本をヒットさせるために超分業制を取り入れて各クリエイターの得意技を合わせることで作品のクオリティを高めたこと。
発売前にクラウドファンディングにより1万冊の予約販売、発売後のプロモーション活動の布石を打ったこと。
広告費を使わずにマスメディアに取り上げられる、各種SNSに露出する戦略など、著者が使った手法が惜しげもなく公開されている。
著作がヒットした要因は、知名度がある芸能人の作品だったこともあったと思う。
しかし、販売前から「絵本を購入する客層」「消費者が絵本を手にするプロセス」「AmazonなどECサイトがリアル書店を駆逐している現状を捉えた販売戦略」など綿密にマーケティングをして対策していたことが大きい。
また、発売後にTwitterなどにつけられたアンチコメントさえ拡散力に変えてしまう西野氏の先見力、度量の大きさに驚愕。
絵本製作や販売の裏側以外にも「そもそもお金とは何か?」「現代の著作権の在り方」「インターネットが浸透することで実力が露わとなるエンタメ業界」など少し先の世界について気づきを得られる。
世の中の仕組みはもちろん、大衆のとる行動を論理的に予想して販促力に替えてしまう、天才の発想を知れる驚きの一冊。
『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』
作 者:西野亮廣
発売日:2017年10月4日
メディア:幻冬舎