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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】「本が人になった!」アリストテレスが現代に『振り向けば、アリストテレス』

アリストテレスは、プラトンソクラテスと共に西洋最大の哲学者の一人で「万学の祖」とされている。現在の学問のほとんどはアリストテレスの哲学の範疇とされるほどの偉大な人物であるにもかかわらず、著者の言うように日本ではあまり知られていない。

その理由は、アリストテレスの哲学は「人生の必須教養」ともいうべき存在であるにもかかわらず、彼の著書は用語が難しく人にも勧めにくいと著者は言う。そのため、本書では、「アリストテレスが、もし日本で生きかえったら」というフィクションの元に小説という新たなスタイルでアリストテレスの哲学を伝えている。

本書では、アリストテレスの著作『アリストテレス全集』よりストーリがつくられている。

『ニコマコス倫理学』美しい愛
『弁論術』プレゼン力
政治学』市民を幸福にする政治
詩学』泣ける小説
『問題集』自然現象、人間心理
形而上学』万物の存在

各分野のアリストテレスの著作から重要箇所を用いて、悩める人々の問題を現代の日本に現れたアリストテレス自身が解決していくというとても凝った内容だが、分かりやすくまとめられている。

また本文中、随所に著名作家の作風が感じられる文章が用いられ、本書を読み進めながらも「この文章はあの本の~」というように、本好きにはたまらない工夫がなされている。多くの本を読んでいるつもりであったが、このようなタイプの本に出会ったのは初めてで、著者の別の本も読んでみたいと思った。また、本書によりアリストテレスの哲学を知り、実際の著作も確認してみたいと感じられる内容であった。

そして、本文中の最大の謎は「なぜ、本の中に本があるのか?」ということだ。文章で説明してもなかなか理解しづらいだろうが、読み進めていくと徐々に謎が解き明かされる。そんな仕掛けも本書にある。読んだ人にしかわからないような、面白みがある本であることに間違いはない。

 

[音声で聞く]

http://m.himalaya.fm/jp/episode/205469/6469938/2

 

振り向けば、アリストテレス

振り向けば、アリストテレス