HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】何でも否定から入るのは危険思想?『とてつもない日本』

元総理大臣、麻生太郎氏が現在の日本について語る本。
ニート少子高齢化、様々な問題に対して、麻生氏は悲観することなく肯定的に分析していく。

日本はアジアの「ソートリーダー」であると麻生氏は語る。
成功だけでなく、失敗も進んでさらけ出し見本になる存在、それが日本である。
また、有識者は「日本は世界から孤立している」と言うが果たして本当にそうだろうか。
日本の文化、歴史、価値観、日本が世界に与えている影響は計り知れない。
ネガティブ面だけ見るのではなく、まず日本国が世界に与えるプラスパワーを日本国民が再認識する必要があるのではないか。

また国内の問題に関しても麻生氏は悲観することなく切り込む。
高学歴、大企業のエリートの道から外れた人間は本当に「落ちこぼれ」なのか。
真の問題は将来の選択肢を狭める「均質化」教育ではないかと麻生氏は語る。
ニート、低学歴=悪とどうしても決めがちな現代だが、そういったネガティブな決めつけを疑い、別の角度から見直すことで本質が見えてくる。

麻生氏のスタンスは「悪い面ばかり見ててもしょうがない、良い面を見ていこう」のスタンスである。
物事の悪い面ばかり見ていては何も行動できないのは自明だ。
麻生氏のように、良い面を見て伸ばしていく思考法は現代人にとって見習うべきものではないか。

とてつもない日本 (新潮新書)

とてつもない日本 (新潮新書)

【ランキング】今月読まれた書評【2018年8月度】

1位 

bookrev.horiemon.com

トヨタだけが知っている早く帰れる働き方

トヨタだけが知っている早く帰れる働き方

 

 

 

2位 

bookrev.horiemon.com

  

 

3位

bookrev.horiemon.com

29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。 (オープンブックス)

29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。 (オープンブックス)

 

 

 

4位 

bookrev.horiemon.com

やっぱり熟女がいちばんでした。

やっぱり熟女がいちばんでした。

 

 

 

5位 

bookrev.horiemon.com

 

 

6位  

bookrev.horiemon.com

花戦さ (角川文庫)

花戦さ (角川文庫)

 

  

 

7位

bookrev.horiemon.com

君が生きる意味 人生を劇的に変えるフランクルの教え

君が生きる意味 人生を劇的に変えるフランクルの教え

 

 

 

 

8位 

bookrev.horiemon.com

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

 

 

 

9位

bookrev.horiemon.com

半径5メートルの野望 完全版 (講談社文庫)

半径5メートルの野望 完全版 (講談社文庫)

 

 

 

10位

bookrev.horiemon.com

英語の多動力

英語の多動力

 

 

【書評】心はどう生まれるのか?『単純な脳、複雑な「私」』

本書は海馬の研究を専門とする池谷氏が高校生への講義という形で脳の本質や意思とは何かということを考えていくものである。
私達は普段自分の意思で行動していると思っている。
実際にはそんなことは当たり前過ぎて、それを深く考えることもないだろう。
しかし、本書ではそれに疑問を投げかけるある有名な脳科学の実験を紹介している。
その実験はいたってシンプルで、被験者に好きな時に手を挙げてもらってその時の脳の状態を調べるというものだ。
その研究で明らかになったことは、被験者が手を挙げようと「意図」する約1秒前に脳はすでに手を動かす「準備」を始めているということだった。
つまり、普通私達は自分が手を挙げようと「意図」したから脳がその「準備」を始めると考えがちだが、実際には脳が先に「準備」を始めてそれから私達は手を動かしたくなるのである。
また、これと似た実験で脳の手を動かしたくなる部分に刺激を与えてその反応みるというものがある。
被験者はもちろん手を動かすのだが、その理由を聞くと自分で動かしたくなったからと答える。
実際には研究者が単にその動作を司っている脳の部分を刺激しているに過ぎないのに、本人はそれを自分の意思と感じているのである。
こうなってくると、本当に意思というものは存在するのか、もしかしたら脳が勝手に自分を操作してそう感じさせてるだけではないのかとも思えてくる。
この他にも、脳に存在するゆらぎを観察すると、プロゴルファーのショットが成功するかどうか予測できるというような実験も詳細されていて、脳の不思議さや凄さを十分に感じられる内容となっている。
AIがブームとなっている中、脳は効率よく進化するためにすでに存在する脳回路を使い回して新しい感情を作り上げてきたというような、システムの開発に似た面もある一方で、その時の脳のゆらぎでアウトプットが毎回変わるというシステムとは正反対の面もあり、そんな比較をしながらの読み方もできる一冊である。

【書評】「ブラック企業にいるけど辞めるのも億劫……」の人に私なりの妥協案 『筋トレは必ず人生を成功に導く 運命すらも捻じ曲げるマッチョ社長の筋肉哲学』

「ちょっと今から仕事辞めてくる」という映画で主人公の隆はブラック企業に就職し上司の山上に追い詰められて自殺未遂まで行う。堀江貴文氏はブラック企業について「さっさと辞めればいいじゃん」と発言している。

ブラック企業にいるけど辞めるのも億劫……」と“おれって中途半端ないってぇ!”的な人に筋肉を贈りたい。もし、主人公の隆が筋骨隆々でアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラだった場合、上司からのパワハラはあっただろうか?

妥協案として「さっさと筋トレはじめればいいじゃん」と言いたい。もしパワハラをしている現場に出くわし、冷蔵庫みたいな人間2・3人でそいつを包囲した時、そいつは戦意喪失するだろう。戦闘力が桁違いと本能レベルで分かるからだ。

上司から理不尽にガミガミ言われたとき、心の中で「確かにお前の方が立場が上だが、ここで一戦交えたら間違いなくお前を葬ることができる」「もし一線を越えたらタダじゃおかねえ」「夜道でおれに会ったら気をつけろよ」そういった心の余裕を持つことができる。

心の余裕=相手の生殺与奪権を握っているということになる。争いは同じレベルの者同士でしか発生しない。会社辞めるか、筋トレするか、選べ。

 

筋トレは必ず人生を成功に導く 運命すらも捻じ曲げるマッチョ社長の筋肉哲学

筋トレは必ず人生を成功に導く 運命すらも捻じ曲げるマッチョ社長の筋肉哲学

 

 

【書評】文庫本1冊が生きる力になる『奇跡の教室』

公立中学の滑り止めだった私立中学で、「1冊の文庫本を3年間かけて読む」という異例の授業を行った教師がいた。

その教師の名前は橋本武。
橋本は「銀の匙」という文庫本を興味がある部分で横道にそれながら、主人公の少年時代を追体験していく授業を展開する。
駄菓子屋のシーンで実際に駄菓子を食べながら朗読、凧揚げのシーンで1から凧を作って揚げる。
生徒たちは体験を通じてスローペースで物語に没入し、楽しみながら学んでいく。
そんな異例の授業は、カリキュラムや効率重視の現在の国語教育へのアンチテーゼにも見えて非常に面白い。

教え子たちは皆、学ぶ力の背骨となっているのが橋本の授業だと語る。
様々な事象に興味を持つ。興味があることを徹底的に調べる。楽しみながら挑戦する。
中学時代を通して読み込んだ文庫本1冊が、大人になっても人生の素地になっている。
今の国語教育には類を見ないことで、非常に興味深い。

「すぐ役立つことはすぐ役立たなくなる」
文中の橋本のこの言葉が頭をよぎる。
今はまだ学歴、偏差値主義な世の中だが、今後は様々な事象に興味を持ち、どんどんチャレンジできる人間が価値を産む。
今こそ「横道にそれながら、ゆっくり学ぶ」教育が必要なのかもしれない。  

 

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち

奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち

 

 

 

銀の匙 (岩波文庫)

銀の匙 (岩波文庫)

 

 

 

【書評】おしゃれは、お味噌汁と一緒 『服を着るならこんなふうに(1)』

本書は、著者の悩みでもある、おしゃれになりたいけど、どうしたらいいかわからない。という人のために、服に親しみをもってほしいという著者の気持ちにより書かれた本である。

そして、漫画というかたちをうまく使っているため、主人公の困った状況やコーディネートの仕方など、とてもわかりやすい。普段あまり漫画は読まないほうだが、一気に全巻購入してしまったほどだ。

そのストーリーは、同窓会の打ち合わせに来たかつての友達が皆「ちゃんとした大人の服装」であった。それにひきかえ、主人公は「コンビニへ行くような服装」で行ったため、自分にはファッションセンスがないと落ち込む。

もともと洋服に無頓着で「服を買いに行く服がない」と嘆く主人公に、優しい?妹がファッションの入門を教え、小学校の同窓会へ来ていく服を一緒に見つけていく。

「おしゃれはお味噌汁と一緒」これは、妹からのアドバイスだ。どういう意味なのかは、本書で確認してほしい。

さらに、各話の終わりにはMB's NoteとしてファッションバイヤーのMB氏が本書ですすめている、ファッションアイテムについて解説している。いまいちよくわからないファッション用語や、おしゃれのポイントなど、すぐに知りたい人は、ここから確認するのもいいだろう。

私服のコーディネートができなく、いつもスーツでごまかす人、部屋着のまま、または最悪の場合、寝ていたままの服装で外に出かけてしまう人。

さらに、服を購入するためのすべての工程が面倒で「選ぶ」「試着」「支払い」を「1秒で終わらせたい」と言う人。これらに当てはまる人には必読の一冊である。

服を着るならこんなふうに (1) (単行本コミックス)

服を着るならこんなふうに (1) (単行本コミックス)

【書評】人の心は最適化されるか『田中角栄 100の言葉 ~日本人に贈る人生と仕事の心得』

国や地方自治体の意思決定、裁判所の判決などには、時に不合理なものになってしまうことがあります。なぜ起こるかと考えるとそのシステムとその中での意思決定には人間が関与しているからです。

世の中のシステムを作る人間や強い影響力を与える人間に働きかけ協力を得るためには“コミュニケーション能力”が必要です。この能力は人間が世の中を人間が回している限り、自動化や機械化になっても変わりません。

その“人間を動かす”能力に長けていたのが田中角栄氏です。“政治は実践である”と言い切る著者は尋常小学校を卒業し労働者となり、勤労を通し世の中を理解していきます。

“政治にオール・オア・ナッシングはない。グレーがあり、中間がある。”
このような相手側の心情を察する“義理・人情”に基づく人間の心理を機械は読めるでしょうか?人間の心は最適化・合理化されるのでしょうか?そこを踏まえて、もう一度AIを再考してみませんか?

田中角栄 100の言葉 ~日本人に贈る人生と仕事の心得

田中角栄 100の言葉 ~日本人に贈る人生と仕事の心得

【書評】社会情勢と人間の心を生々しく映し出している…『闇金ウシジマくん考察BOOK』

原作の『闇金ウシジマくん』の魅力として、緻密な取材によるリアリティがあげられている。もちろんそれ以外にもこの原作が読者を引きつける理由はたくさんある。

まず、お金の貸し借りという行為、しかも闇金という違法金利でやり取りをすることで、「みんな本音が出てしまう。自分の卑怯な部分も、全部さらけ出さなきゃならなくなる。」と原作者の真鍋氏は語っている。

確かに金の貸し借りは褒められた行為ではないのは確かである。しかしこうした極限の心理状態でないと、個々の人間の本性が現れないということも言える。

そうした人間にまつわる愚かな振る舞いを、原作を通して目にしたとき、読者は様々な思いを持つだろう。「ああ、この行動は共感できる。」「こんな人間にはなりたくないな。」そうした感情を持つのは、個人差はあるが、誰もがだらしなく下品な欲望を持っているからだ。

このように『闇金ウシジマくん』は、社会情勢と人間の心を生々しく映し出しており、そこが読者を共感させているのではないだろうか。

闇金ウシジマくん考察BOOK (マイウェイムック)

闇金ウシジマくん考察BOOK (マイウェイムック)

【書評】具体的なWebマの方法がわかる 『すぐに使えてガンガン集客! WEBマーケティング123の技』

SEOが重要なことはわかっているけど具体的にどうすればいいかわからない」
「ちゃんと数値を管理したいけどどうやったらいいのかわからない」
SEO、リスティング、SNS….。一体どれからやればいいの?」

このようなお悩みを解決してくれるのが本書である。

例えば、
SNSは重要だけれども、SEOが全ての基本である」
メールマガジンを馬鹿にしてはいけない」
等の戦略的な話から
「複数SNSの自動投稿予約方法」
Twitterで特定のアカウントのフォローワーに広告を出す方法」
「現在表示しているWebページのPVやインデックス等の詳細の情報表示」
等々まで。

一般にWebマーケティングは、変化が早く、そして情報の確からしさが判断できないと言われている。
本章はタイトルにもある通り123もの方法が記載されており、自分で簡単に試せるものばかりである。
Webマーケティングのお困りのそこのあなた、本書を読んでガンガン集客をしてみてはいかがだろうか。

すぐに使えてガンガン集客! WEBマーケティング123の技

すぐに使えてガンガン集客! WEBマーケティング123の技

【書評】人=出来の悪いGoogleもどき『これからの世界をつくる仲間たちへ』

「これからの世界」それは“コンピュータと人間が調和し、ともに作る未来”である。
本書には、その世界で人間はどのように生きていくのか?という問いに対するヒントが散りばめられている。

現代から未来にかけて人間とコンピュータは境目なく溶けていき、現代でもくら寿司のように「半機械、半人間化」の仕組みはできつつある。機械化されていくのはホワイトカラーであり、言い換えると「出来の悪いGoogleもどき」のような人間である。

もし、あなたがGoogleの上位4件を調べて、それを発信しているだけなら、それは「Googleの下請け」であり、まだ自分の意志で発信できない「Googleの代わり」の役割をしているだけである。

この事実は「人間に努力の仕方を変えなければならない」ことを意味している。
人がコンピュータの代わりになることを避けるには、ウィキペディアのような簡単にアクセスできる形式知を蓄積していてはいけない。

検索してヒットした知識と他の知識を結び付けて新しい解釈をする、Googleで検索してもヒットしない、代替不可能な暗黙知を蓄積することである。

私たちの足元には広大なインターネットが広がっており、靴底との境目は溶け始めている。

これからの世界をつくる仲間たちへ

これからの世界をつくる仲間たちへ