本書では、イキイキする62の小さな行動について書かれている。イキイキするとはどういうことなのか。著者によると“人生では自分の意見と違う体験をすることでイキイキする”そうだ。それは、安全第一の中からは生まれなく、イキイキとはドキドキなのだ。
SNSの普及により、本当の自分とは違った自分を装い、無理してカッコよく見せてしまう。しかしその結果、本当はそうではない現実との違いに苦しむ。評者はそもそもSNSもやっていないため、なぜそれほど苦しんでまで自分をわざわざよく見せようと繕う必要があるのかと疑問に思う。誰しもそのままの素の自分が一番素敵だと思うのだが、自分自身がそれを認められないようだ。
著者は世の中とは逆行するかのように、グズグズした自分を人に見せることをすすめている。何でもできるカッコイイキャラだけではなく、カッコ悪いキャラも持っておくことが大切であり、だらしない自分を受け入れてくれる友だちや恋人を持つことが必要だという。
だらしない自分や弱い自分を見せることにより、自分から人が去ってしまうのではと不安になる人もいるだろうが、そもそもそれで去っていくような人とは付き合う必要はない。まずは自分の弱さを見せられる人を一人持つことがいいそうだ。そこが自分にとってその人が大事な人なのかどうかの判断材料になるのだろう。
人は誰でも常に完璧な状態を持ち続けることはできなく、自分ではわかっていても、時にダメな自分が顔を出す。もちろん最初はそれを隠そうと努力するのだろうが、いずれはそれもバレてしまう。そんな時に「この人は何やってるんだ」とは思いつつも、なぜこのような状況になっているのかと考えれば、そこには、生きていく上で人には理解してもらえず本人にしかわからないつらさがあり、人から見れば羨ましがられるように見えても本人にとっては、本当はとても心が寂しくどうにも埋められないそんな自分が見え隠れしてしまうのだろう。
そのように考えてみれば、世の中にダメな人なんて誰もいない。弱さもカッコ悪さも含めてその人の魅力なのだ。