どうして私はこんなに嫉妬深いのだろう。評者はずっと昔からそう思っていた。嫉妬なんてめちゃくちゃ苦しいだけでいいことなんてひとつもないのに。母親が弟ばかり可愛がると嫉妬、好きな人が女の子のいる飲み会に行くと嫉妬、会社では隣の人のほうが仕事ができると嫉妬、ずっと嫉妬まみれだった。
そして2年前位に出会ったのが本書。精神科医の水島広子さんが繊細でうまく生きられない人に向けて書いたもので、丁寧で決して人を傷つけない文章が優しく包み込んでくれる。私は夢中になって読んだ。
得たことは、人にはそれぞれ領域があるのでそれを尊重し、割り切ることが大切で、そもそも他者は嫉妬する権利など持っていない、ということ。
これに納得し心の中で唱えてきたけど、嫉妬癖は直らなかった。そこで今回改めて嫉妬について考えてみようと、本書を読み返した。
嫉妬の原因には先天的なものと後天的なものがあるという。想像力が豊かな人は、良い想像も悪い想像もたくさんするので、先天的に嫉妬深くなりやすいらしい。
後天的なものは、育った環境によるもの。親の愛情をたっぷり与えられたと感じて育った人は、自己肯定感が高いので嫉妬しにくい。親にほとんど愛されなかった人は、そもそも他人に期待しないので嫉妬しにくい。その中間、気まぐれに親の愛情を受け育った人は、自分に自信が持てず嫉妬深くなりやすい、とのこと。
私は先天的、後天的の両方の理由が当てはまった。嫉妬深くて当然だ。
今回得たことは、嫉妬は自分の存在価値が脅かされていることへの警告であり、嫉妬は憎むべき感情ではなく支えてくれている味方なのだということ。警告を受けた時は、自分の存在価値が本当に脅かされているのか確認し、対処すればよいとのこと。
今まで嫉妬は私に纏わりついてとても嫌な存在だったが初めて感謝することができた。これからは嫉妬心とうまく付き合っていけそうな気がしている。