20世紀最高の哲学書を3冊は?と問われたら、ハイデガー『存在と時間』と並んで必ず名前が入り、あと1冊は何だろうと考えることになると呼ばれるほど有名なこの著書、通称「論考」。
「世界とは言葉で表現できること全てである」との考えのもと、過去全ての哲学の問題に終止符を打ったと言われている。この本が出るまでは、例えば「本当の美」など言語で表現できない概念的な物を考えるのが哲学だったが、著者のヴィトゲンシュタインの主張は世界とは言葉で表現できる物であると仮定し、数学視点の論理学と言葉を用いながら説明、そして最後には「語ることのできないことは沈黙するしかない」という表現を使い、世界=言葉で表現できることと主張して本書は終わります。
その後この言語に注目し、言語ゲームという考えを提起します。「海」「電車」という言葉に対して全てのもしくは真の「海」「電車」を見なくても、ある程度みたら全体像を理解できるという性質を人間が先天的に持っているという事です。
当たり前と思われますが、この考え方は人工知能研究に用いられてGoogleのAIが猫を世界で初めて認識した手法、深層学習に繋がることにもなり、大変興味深いものでした。
とはいえ論考自体がとても難解で、解釈も人によって分かれるので自分なりに理解してみると面白いと思います。
著者:ヴィトゲンシュタイン
発売:2014/1/9
出版社:光文社