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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】あなたは宗教を目撃する!『ビジュアルではじめてわかる宗教』

 

400以上のビジュアル資料から世界の宗教を解説する入門書。日本にある主要でない宗教は途端にイメージできなくなるが、世界の宗教となるとなおのこと、言葉による説明では理解が追いつかなくなる。本書は宗教一般の章が一つと索引を備え、諸宗派の紹介や局所的に残されている伝統的信仰まで幅広く紹介されている。

宗教は視覚に訴えかける要素が多い。世界中にある世界遺産などの建築物、美術画、街中のデザインなどには宗教に関わるものが多い。観光地として宗教施設を訪れることもあると思うが、神話などの世界観、現実とは異なる空間を表現しているからである。外観がビルや無機質な建物でもその中身は違うのだ。

例えばゾロアスター教は世界史にも登場するが、知っていても単語としてだけかもしれない。しかし現実はイランだけで6万人、その他に数千人の信者が世界にいて増加傾向だという。ユダヤ教からキリスト教、そしてイスラム教へなどの単純な発達史観に基づくと、今を生き、その宗教を信仰する人々の理解を誤り、時としてトラブルにまで発展するかもしれない。ビジュアル資料はその助けにもなりそうだ。

宗教コミュニティの内と外では、その宗教に対する認識のギャップがありそうだ。ビジュアルとして宗教儀式の様相、神聖なものそれ自体やその表現など、イラストではなく写真を用いて生の宗教に触れられる本書は意義のあるものだと思う。ビジュアル重視で評してきたが、テキストも十分に読みごたえあるものとなっている。

ハンドブックサイズにおさまり、手に取りやすいだろう。

『ビジュアルではじめてわかる宗教』
作者:フィリップ・ウィルキンソン
発売日:2015年8月18日
メディア:東京書籍