人生に絶望し、「うつ」に陥り、マンションの12階から飛び降り自殺を図った本書の著者モカ。そこに至るまでの経緯、入院生活での経験、その後始めた「お悩み相談」の活動、そして悩んでいるすべての人に伝えたいモカからのメッセージが綴られている。
モカが「お悩み相談」の活動を経て得た知見として、悩みの根源となる原因は大きく3段階あるとしている。
最も深刻なのが「絶望」。対処法としては「希望」を与える。
希望はあるが、それが叶えられるか分からない段階が「不安」。この人たちには「勇気」を与える。
最後にエネルギーをどう発揮したらいいか分からないという段階が「迷い」。こういった人たちには「貢献」を与える。
相談を生業としていない、モカならではのユニークな知見だ。
本書でモカが相談者に対し「好きなことをやろう!」と告げる場面が度々出てくる。これは「希望」や「勇気」を与える言葉となり、モカにとっても重要であることに違いない。
だが、モカが退院後、生きる核としたのは最後の「貢献」だ。これが本書でモカが最も伝えたいことなのだろう。次の1文はそれを端的に表現している。
「すべての欲求は、シンプルに貢献をおこなえば満たされる」(第11章)
精神科医や心理カウンセラーは尊い職業だ。だが、彼らの言葉が響かない、という人も少なからずいるはずだ。そんな人でも飛び降り自殺を図り一度死んだモカの言葉なら響くかもしれない。
死を考えたことのある人、或いは死について哲学したい人。気が向いたら障りだけでも読んでみては如何だろう。