本書は精神科医である水島広子さんが、繊細でうまく生きられない人に向けて書いたものの1つである。丁寧で優しく人を傷つけない文章が、悩みを抱えた人々を温かく包み込んでくれる。
本書によると、嫉妬の原因には先天的なものと後天的なものがあるという。想像力が豊かな人は、良い想像も悪い想像もたくさんするので、先天的に嫉妬深くなりやすいらしい。
後天的なものは、育った環境によるもの。親の愛情をたっぷり与えられたと感じて育った人は、自己肯定感が高いので嫉妬しにくい。親にほとんど愛されなかった人は、そもそも他人に期待しないので嫉妬しにくい。その中間、気まぐれに親の愛情を受け育った人は、自分に自信が持てず嫉妬深くなりやすい、とのこと。
評者は嫉妬深いのだが、先天的、後天的の両方の理由が当てはまった。嫉妬深くて当然だ。
本書で最も参考になったことは、嫉妬は自分の存在価値が脅かされていることへの警告であり、嫉妬は憎むべき感情ではなく支えてくれている味方なのだということ。警告を受けた時は、本当に自分の存在価値が脅かされているのか確認し、対処すればよいとのこと。
今まで嫉妬は纏わりついてきてとても嫌な存在だったが、初めて感謝することができた。これからは嫉妬心とうまく付き合っていけそうな気がしている。