帯に写る著者を見てこの素敵な女性の挫折なんて味わったことのない人生はきっと輝かしいに違いないと直感で思った自分を恥じた。ヨガスクールを経営する著者が今の地位に至るまでは葛藤や紆余曲折があったのだ。美しいからと言って順風満帆な人生を送ってきたのではなく、普通の人と同じように悩み、もがき苦しみその結果得た人生であったのだ。
著書はいわゆる「自分探し」に苦しんだ時期を過ごしている。何か新しいことをやりたい、何かを成し遂げたいと思いながら、その何かを見つけることができず苦しんだらしい。
本を通じて著者が伝えたいメッセージはこうだ。自分を好きになること。著者はやりたいことを見つけたというより、ヨガを通じて自分の中にやりたいことを見つけている。誰かと比較していた自分、幸せになりたい自分、そう考えている限り新しい自分には慣れないのだ。自分が主である限り意識しないと自分を客観的に見ることは困難である。それに慣れてしまうと、気がつくと自分自身のことを疎かにしてしまうのだ。変わりたいと思っている限り、変わることはできない。著者は瞑想を通じて自分自身と静かに向き合うことによって、考え方の傾向を受け入れていった。そのことによって些細な幸せを深い幸せと感じるようになったのだそう。
著者はこの著書はキラキラした話ではなくむしろカッコ悪い話であると言う。そんなことはなかった。むしろ勇気をいただいた。自分を曝け出してメッセージを伝えてくれた著者は最高にカッコいいと思う。