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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】あなたの人生の始まりに私が付き合ったように、私の人生の終わりの少しだけ付き添って欲しい『傾聴力』

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著者の大津秀一先生は緩和ケア医であり多くの終末期の患者様を担当しています。著書の “死ぬときに後悔すること25”には健康、心理、社会などの項目毎に「自分(患者様)が後悔していて、やり直したかったこと」が書かれており、読者に人生の優先順位を考え直すきっかけを与えてくれる本になっています。

本書のタイトルの“傾聴力”とは終末期の患者様との対話で活用された治療的対話のことです。“聴く”とは「徳を持って耳を傾ける」、「耳を王様にして十四(脳)の心を持って、心の声まで聴くこと」という意味があり、“傾聴力”とは相手の心の奥底の言語化できない声を対話を通して形にしていくことになります。

終末期の患者様は素晴らしい人生を歩まれたはずの人生の終盤に痛みや苦しみなどの苦悩に出会っています。それは長い人生から考えると本の数年のことかもしれませんが、そのような危機的な状況は自分の人生を不幸と解釈してしまうきっかけになります。“傾聴力”は相手との共同による新しい物語の創作を援助します。話すこと、気付くこと、解釈しなおすこと、解釈しなおすこと、その行為は自分の人生や存在を肯定し、終末期の苦悩による危機を乗り越える力になります。

 この“傾聴力”は終末期の患者様だけでなく、悩んでいる一般の人に用いることができます。もしあなたの大切な誰かが苦しんでいるときには“傾聴”してみてください。その方法は本書で。