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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】これぞバックパッカーのバイブル。パキスタンからアフガニスタンそしてイランへ『深夜特急4 シルクロード』

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「デリーからロンドンまで乗り合いのバスで行く」主人公"私"の旅、全6巻の4巻目。インドを離れパキスタンへ、乗合いバスでの旅が本格的にスタート。パキスタンでは対向車とのチキン・レース、シルクロードを西に向かって疾走。カブールでは1泊60円の安さに自尊心が負けて宿の客引き、光の海に見えたテヘランのバザールでは商人と懐中時計を巡っての駆け引きが始まる。気軽に行けない国々を堪能できる一冊。まさにバックパッカーの聖書。

6冊中で僕が一番面白かったと感じたのがこのシルクロード編。パキスタンからアフガニスタン、イランというルートは日本人だけでなく世界中のバックパッカーであっても自由に旅をすることが困難なルートになってしまった。"私"が旅をしたのは恐らく1970年代前半、イラン革命アフガニスタン紛争前のシルクロードの牧歌的な描写や見知らぬイスラムの土地での交流・トラブル、モスクでの礼拝シーンはムスリムでなくともコーランを聞きたくなる、そんな心躍り旅に憧れる旅行記となっている。

ヨーロッパからインド方面に下ってくる日本人とすでに読み終ってしまった本の交換するシーンなど、旅をしていた頃に同じような経験した思い出がよみがえる。

最後のシーンでペルシャ逸話集に収められている「カーブース・ナーメ」の一文が書かれている。『老いたら一つ場所に落ち着くよう心掛けよ。老いて旅するは賢明でない。老は敵であり、貧困もまた敵である。そこで二人の敵と旅するは賢くなかろう。』、この一冊を最後まで読むととても感慨深いものがある。