世の中、お金についての矛盾が多い。例えば、「お金は大事!」と言っておきながら、いざ収入について聞くと、「何でそんなこと言わなきゃいけないの!」と怒る、とか。1回は経験ないだろうか?他にも、お金ない!」とか言いながら、平気でお菓子やカップ麺などどう考えても体に悪いものや、服を買ったりしている、とか。パチンコをやっている人もいる。何でだろうってずっと疑問だった。「何でそんな選択をするの?」って。ところが、この本を読むとその「なぜ?」の答えに1歩近づく。この本は、研究論文をもとにして解説されているので、面白い。また、さらに謎が深まるという体験もできる、非常に素晴らしい本なのだ。
例えば「お金が無い」と言いながら、お菓子や服、ラーメンなどを買ってしまう。これは2つの特徴が混ざっているようだ。どうやらこういう人たち、「人生は短い」と思っているらしい。それと同時に、お金の不安から、認知機能が著しく低下している、ということも書いてある。「なるほどな」と思ったのと同時に、「んじゃ、お金が入った時には認知機能は戻るはずなのにそれでも変な買い物するのは何故?」という疑問も出てくる。確かに、人生は短いと思っているようだが、ではそれはどこから出てくるのだろう?このような形で更に疑問が湧いてくる。
もっと闇深く、非常に興味をそそられるのが、「お金が大事だと思ってるのにいざお金を聞かれると怒る」という現象だ。これがなかなかに不思議だ。単純に矛盾しているのと、一体どこから来たのだろう、と首を傾げる。が、これはどうやら親の教育が影響しているらしいのだ。親がお金についてこのように思っていると、子もこのように思ってしまうのだ。ところが、ここで疑問が出てくる。本屋に行くと、所狭しと資産形成本が売っている。実際に買っている人もいるだろうが、なぜ日本人の個人金融資産が増えず、このような「お金持ちは悪だ」みたいに考えているのか、という疑問だ。次から次へと出てくる。
このように、お金についての深い考えの入口になるのが、本書である。僕自身、この本を読んで、この考え方に近づけるように行動している。例えば、JR東日本の電車に乗ったらポイントが貯まるようにしたり、JALのマイレージバンクとJALpay、JAL NEO BANK、JALウェルネスand トラベルに登録し、マイルを貯めやすくしたり、と。何か目に見える形で利益になるようにしている。
なので、一般的な学校教育を受けた人にはおすすめの本だ。是非、読んで欲しい。
参考文献
メンタリストDaiGo(2023)『収入の9割はマネースクリプトで決まる』KADOKAWA
書評者:大隈知広