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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】晴れて自由の身!『「ドロドロした嫉妬」がスーッと消える本』

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本書は精神科医である水島広子さんが、繊細でうまく生きられない人に向けて書いたものの1つである。丁寧で優しく人を傷つけない文章が、悩みを抱えた人々を温かく包み込んでくれる。

本書によると、嫉妬の原因には先天的なものと後天的なものがあるという。想像力が豊かな人は、良い想像も悪い想像もたくさんするので、先天的に嫉妬深くなりやすいらしい。
後天的なものは、育った環境によるもの。親の愛情をたっぷり与えられたと感じて育った人は、自己肯定感が高いので嫉妬しにくい。親にほとんど愛されなかった人は、そもそも他人に期待しないので嫉妬しにくい。その中間、気まぐれに親の愛情を受け育った人は、自分に自信が持てず嫉妬深くなりやすい、とのこと。
評者は嫉妬深いのだが、先天的、後天的の両方の理由が当てはまった。嫉妬深くて当然だ。

本書で最も参考になったことは、嫉妬は自分の存在価値が脅かされていることへの警告であり、嫉妬は憎むべき感情ではなく支えてくれている味方なのだということ。警告を受けた時は、本当に自分の存在価値が脅かされているのか確認し、対処すればよいとのこと。
今まで嫉妬は纏わりついてきてとても嫌な存在だったが、初めて感謝することができた。これからは嫉妬心とうまく付き合っていけそうな気がしている。

 

「ドロドロした嫉妬」がスーッと消える本

「ドロドロした嫉妬」がスーッと消える本

  • 作者:水島 広子
  • 発売日: 2014/01/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】人生における執行猶予の期間が欲しかった。『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』

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香港・マカオに別れを告げた著者は、意気揚々とバンコクへ飛んだ。しかしそこは想像とは全くかけ離れた街だった。バンコクという街は、いくら歩いても捉えられなかった。それは人々についても同じだった。いつまでたっても、著者にとってバンコクは曖昧で、とりとめがなかった。あれほど興奮した香港との違いは一体何なのだろうか。

そもそも著者がなぜこれほど酔狂な旅を始めたのか。その理由が、本編では明らかになる。

著者は大学を卒業後、就職した会社を一日で退社した。そして言わば偶然の成り行きで、ルポライターになった。その仕事がうまくいかなかった…ではなく、逆にうまくいきすぎた。仕事の量がいつの間にか著者を職業的な書き手になるように強い始めていた。

プロになるのは御免だった著者にとって、それはどうにかしなければならない状況だった。そして、次から次へと舞い込む仕事を断るためについた嘘が、「外国へ行く」だった。その嘘が本当になってしまったのだ。

もちろんそこには「無意味で酔狂な旅をしたい」という理由もあった。しかし一番の理由は、「人生における執行猶予の時間が欲しかった」ということだった。著者は決定的な局面に立たされ、選択することで何かが固定してしまうことを恐れた。つまり逃げたのだ。

しかしながらそこには恐怖ばかりでなく、不分明な自分の未来に寄り添っていこうという勇気も、ほんの僅かながらあったのではないか。著者は道中、しばしばそんなことを内省する。

そうした内省を挟みながら、何とかしてその土地を理解しようと、列車に乗ってタイからマレーシアへと、著者の旅は進む。そして著者は、今いる土地を理解できない原因は自分自身にあることを悟るのだった…。

本書を通して感じるのが、著者の素直さである。一つ一つの物事をよく観察し、ものすごく頭の中でこねくりまわして考えるのに、とても素直なのだ。一見不思議だけれど、あるいは素直さとはこういうことなのかもしれない。

人に対して素直であるという以前に、自分に対して素直であることが、本来の素直さなのかもしれない。頭の中に浮かぶ考えを否定せずに、そのまま受け入れてあげること。そして一つの出来事に出会うたびに、自分の考えを柔軟に変えていく。こんな著者だからこそ、旅を通して多くの学びを得られるのだろう。

著者がタイ、マレーシアにおもしろみを感じられなかった原因は果たして何だったのか。著者とともに探りながら読んでみて欲しい。

 

 

【書評】「好きです」に説明はいらない『「そのうち何か一緒に」を、卒業しよう。〜企画から出会いを生む61の方法〜』

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企画とは、熱い思いでありラブレターだと著者はいう。真面目な人は企画書がついロジカルになってしまい、受け取る側はうれしくない。それは、ロジカルに書かれたラブレターと同じで「好きです」の後に「なぜ好きかというと」や「その理由は」と書かれているのと同じだそうだ。好きになるのに理由はいらない。ダイレクトに伝えればよく、究極企画はプロポーズだという。 

無駄なものを省き、ストレートな短い一言が最もインパクトが強く、そこには変な駆け引きや小細工も必要ない。なぜなら何か裏があると感じた瞬間に相手に対して不信感を抱いてしまうからだ。そのため、大事な人にはどんなことであってもマイナス面はあらかじめ表に出した方がより信頼感が築ける。

また、企画は相手を説得することではなく、その気にさせることが重要だという。例えば「一緒に〜してもらえませんか」「こうすると面白いよね」「これがうまくいくと楽しいね」「手伝ってもらえませんか」というように誘うことで人を巻き込んでいけるという。確かに人から「これ一緒に手伝って」と突然何か渡されたら断る理由もなく無意識に手伝ってしまうだろう。

著者は過去に広告代理店で働いていたことにより、頼まれてもいない企画を常に考えてしまう職業病があるそうだ。例えば、お芝居を見に行った際には、もし第2弾の演出を頼まれたらと配役を考えたり、常に自分が見る側から作り手側にまわってしまうのだという。

評者も著者のように、ついビジネス思考を持ってしまう。レストランに食事に行っても、味が良いかどうかも大事だが、なぜこのエリアに出店したのか、この価格設定で利益は出ているのか。お店の目指す路線と内装や器等のバランス、お客さんの人数に対する従業員数、職業病ではないがいつもそう考えてしまう。もちろんそれは飲食店に限ったことではなく、どんな業界でも気になってしまう。
 
本書では、企画に焦点をあてた61の出会いの方法について書かれている。また、その内容について恋愛に例えて説明されているところが驚きだ。

 

 

【書評】こんな世界があったのか!?異世界を旅しよう『深夜特急3 インド・ネパール』

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「デリーからロンドンまで乗り合いのバスで行く」主人公"私"の旅、全5巻の3巻目。放浪の旅はシンガポールから、一気にインドへ。旅の出発地となるデリーに向かわず一路カルカッタへ。カルカッタからブッダガヤそしてベナレスへ向かう主人公"私"は病気や飢え、カーストという今まで経験したことのない異世界を眺め矛盾を感じつつも彷徨する。そしてネパールからデリーに向かう途中で"私"は高熱に襲われ。。。

全5巻の中で一番生死を感じさせ考えさせる生々しい描写が続く「インド・ネパール」編。ある意味、全ての読者を裏切らないストーリーで嵌まる人はとことん嵌まる、苦手な人はインド・ネパールには足を踏み入れないだろう感じる本書。

物乞いにいきなり足を掴まれたり、ドブネズミの大群にピーナッツを撒いて地面を黒くうねらせるパフォーマンスでピーナッツを売る男、ネパールでは、降り続く雨に鬱々としながらだるさと共に怠惰な生活を送り、ハシシに手を出す、日常出会わない描写が満載なだけでなく、それに対する"私"の素直な感情や今異世界にいる高揚感を感じ取れ、読めば読むほど、自分自身も今いる世界とは別の世界に入り込んでいく、まさに「こんな世界があったのか」と感じるだろう。

私はとことん本書のストーリーに嵌まり、同じ体験をしたくインドへ行ったものの、時代が変われば街も人も変わる、本書のような異世界には出会えず、まさに現代では経験できない異時代・異世界を旅する一冊。怖いもの見たさで読んでみては?

 

 

【書評】何はともあれ人が一番大事『20代社員4割! 売上続伸! 人が集まる自動車学校のすごいカイゼン』

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人口の減少、若者の車離れ、指導員の高齢化。そんなネガティブ要因が取り巻く自動車学校業界。そんな環境でも直近10年間で売上を45%伸ばした異常な自動車学校が大阪にあります。他と違う異常な成果を出すためには、他と同じことをしていては達成は不可能です。そんな異常ともいえる仕組みの一部がわかりやすく解説されているのが本書です。
一番のポイントは安易な安売り合戦に乗ることなく、独自の商品開発を行ったことでしょう。特に繁忙期にも関わらずスピードで免許が取れることを売りとする商品を売り出すことは、自動車業界の常識から大きく外れます。まさに業界の常識を打ち破ることこそ、違いを生み出す原動力となる好例です。
そんな夢のような事実は今でこそありますが、それを実現させたのは当然ですが現場の人たちです。彼らの協力なくしては、いくらトップが号令をかけても実現はしません。指導員の高齢化が進む状況の中で組織の若返りを図りながら、ベテランの親父たちをも輝かせるエピソードも紹介されています。
著者が悩みぬきながらも走り抜けた10年間。決してガチガチなトップダウンではなく、社員の心情を慮りながらの改革にとても心温まる想いです。
あまり馴染みのない自動車教習所業界の世界を垣間見るのも、また面白いひとときとなるでしょう。

 

 

20代社員4割! 売上続伸! 人が集まる自動車学校のすごいカイゼン

20代社員4割! 売上続伸! 人が集まる自動車学校のすごいカイゼン

  • 作者:藤井康弘
  • 発売日: 2020/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】気づかぬうちに主人公"私"に私が『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』

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“デリーからロンドンまで乗り合いのバスで行く”主人公"私"の旅、全5巻の2巻目。香港・マカオに別れを告げ、デリーへの経由地であるバンコクへ飛んだものの、なぜか主人公"私"の中には響いてこない。香港で感じた熱気を期待しながら、バンコクを離れ鉄道でマレー半島を南下。途中、マレーシアのペナンでは娼婦の館に滞在し、娼婦やヒモ男たちの屈託のない陽気さに巻き込まれ、終着地シンガポールを目指す中で変わっていく”私”の心に読み手はグイっと引き込まれる。

本書を含めた『深夜特急』シリーズは"私"という一人称で語られており、日本人としてのメンタリティと着飾らない26歳の"私"の感情が素直に表現されている。
2巻を読むことで、"私"がいかに香港が魅力的で刺激のある街であったかが良く理解できる。

私は香港よりもバンコクやペナン、シンガポールの方が断然魅力的に決まってるでしょ!と思いながら読んでいくうちに、"私"と読み手である私が一体となり、「どこに香港以上に刺激的で好奇心を掻き立てる街はあるのか?」とまるで自分自身が”私”になり旅をしている気持ちになってくるのが面白い。

本巻に出てくるペナンの同楽旅社のような奇妙な雰囲気の怪しげな旅社や鈍行列車で出会ったチュムボーンへ帰省する若者たちとの出会いは残念ながら現在では経験できないだろう。
最早経験できない旅が体験できるこの一冊は旅に出たことがない人はもちろんであるが、東南アジアを一度でも旅行した人は更に"私"に同化できる一冊である。

 

 

【書評】無事、安心は禅の言葉『こども禅の言葉』

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小学生向けに作られた本になりますが、大人の評者が読んでも参考になります。
禅という言葉を聞くと日常から切り離された遠い存在と考えてしまうと思いますが、実は日頃から私たちが使っている無事や安心も禅言の葉になります。

本書の構成は学校の悩み、友達の悩み、家族の悩みなど小学生が遭遇する悩みに対して禅言葉を用いてヒントをくれます。
・口の悪い担任の先生のことをあまり好きになれません。
・好きな子に振り向いてもらえません。
・お母さんもお父さんも私のことを分かってくれません。
このような悩みが題材で挙げられています。

悩むとは生きている証拠です。心を成長させてくれます。本書を参考に解決のヒントをもらったら「禅即行動」です。この言葉は「頭で考えたってものごとは一歩も進まないので行動しよう。」という意味です。

今も昔も行動が大事なのは変わらないようです。本書はイラストも可愛く、両親へのアドバイスも載っているため親御様にもおすすめです。

 

こども 禅の言葉 プロット版 エイムック

こども 禅の言葉 プロット版 エイムック

 

 

【書評】情報を掛け合わせてみよう『儲けの仕組み50万円からできるビジネスモデル50』

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本書は、既存のビジネスモデルにプラスαとして他の事業の一部を掛け合わせる事によって、オリジナリティーを生み出すモデルが紹介されています。
また、全て読む必要はなく、どうしても時間が無く知りたい情報だけ欲しい人向けにも作られています。
例えば、レストランでの注文待ち時間に簡単ですぐ1ゲーム終わるボードゲームをすると、客のスキマ時間を楽しく過ごせる等。
実際に、大分市ボードゲームとカレーやパスタ等簡単な料理を提供する「ボードゲームカフェJOGO」というレストランが実在します。
他にも様々な既存のビジネスモデルを掛け合わせた例が紹介されている為、情報を組み合わせる例を知る点において気軽に読めます。

 

儲けのしくみ──50万円からできるビジネスモデル50

儲けのしくみ──50万円からできるビジネスモデル50

  • 作者:酒井 威津善
  • 発売日: 2017/03/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】常識破りのクリエーター『映画 えんとつ町のプペル』

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本作は、制作総指揮を務める西野亮廣氏により2011年頃より生み出されたストーリーである。初めは絵本として登場したのだが、その時からすでに映画化の構想があったそうだ。さらに、舞台や個展、美術館の建設、さらには、パリのエッフェル塔で日本人アーティストとして初めて絵本展を開催し、『えんとつ町のプペル』は次々と素晴らしい展開をしていった。
 
本作は単なるアニメーション映画ではない。緻密でドラマチックに描かれたえんとつで溢れた町のつくりや、数々の個性あふれる登場人物、細部までにこだわった映像美、どれをとってもかなりのクオリティの高さに驚かされるばかりだ。

また、映画では絵本には掲載されていない様々なストーリーが展開される。人々が住むその島は、なぜ星も見えないほど煙でいっぱいなのか。また、主人公は誰なのか。仮面を被り表情のない異端審問官に普通ではないと裁かれてしまう世の中。さらに、島の250年前の歴史、腐るお金「L」とは何なのか。ついに町の秘密が明らかになることにより、奥深いストーリーがより面白さを増す。

世の中は、本作の映画公開を待っていたかのように変化を遂げてしまった。ストーリーは、まるで現在を表現しているようだ。もちろんそれを想定してのことではなかっただろう。より深い黒い煙で覆われてしまった私たちが住む世界は、偶然なのかそれとも演出なのか不思議な世界は映画を観た後も私たちの世界で続く。そして、そのような世の中でも何かへ挑戦し懸命に生きる人々へのメッセージが本作には込められているのだ。

 

映画『えんとつ町のプペル』ARTBOOK

映画『えんとつ町のプペル』ARTBOOK

  • 発売日: 2020/12/25
  • メディア: 大型本
 

 

【書評】自分の居場所を作ってたら、まちづくりになっていた『都市の〈隙間〉からまちをつくろう』

 

皆さま、お久しぶりです。漫画で書評を描いてみようのコーナーです。
ちょっと前にできた、風来坊なお友達、ユウさんが本を出しました。この本、普通に面白いし。ユウさん、あんたスゴい人だったんか…

 

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