「デリーからロンドンまで乗り合いのバスで行く」主人公"私"の旅、全5巻の3巻目。放浪の旅はシンガポールから、一気にインドへ。旅の出発地となるデリーに向かわず一路カルカッタへ。カルカッタからブッダガヤそしてベナレスへ向かう主人公"私"は病気や飢え、カーストという今まで経験したことのない異世界を眺め矛盾を感じつつも彷徨する。そしてネパールからデリーに向かう途中で"私"は高熱に襲われ。。。
全5巻の中で一番生死を感じさせ考えさせる生々しい描写が続く「インド・ネパール」編。ある意味、全ての読者を裏切らないストーリーで嵌まる人はとことん嵌まる、苦手な人はインド・ネパールには足を踏み入れないだろう感じる本書。
物乞いにいきなり足を掴まれたり、ドブネズミの大群にピーナッツを撒いて地面を黒くうねらせるパフォーマンスでピーナッツを売る男、ネパールでは、降り続く雨に鬱々としながらだるさと共に怠惰な生活を送り、ハシシに手を出す、日常出会わない描写が満載なだけでなく、それに対する"私"の素直な感情や今異世界にいる高揚感を感じ取れ、読めば読むほど、自分自身も今いる世界とは別の世界に入り込んでいく、まさに「こんな世界があったのか」と感じるだろう。
私はとことん本書のストーリーに嵌まり、同じ体験をしたくインドへ行ったものの、時代が変われば街も人も変わる、本書のような異世界には出会えず、まさに現代では経験できない異時代・異世界を旅する一冊。怖いもの見たさで読んでみては?