企画とは、熱い思いでありラブレターだと著者はいう。真面目な人は企画書がついロジカルになってしまい、受け取る側はうれしくない。それは、ロジカルに書かれたラブレターと同じで「好きです」の後に「なぜ好きかというと」や「その理由は」と書かれているのと同じだそうだ。好きになるのに理由はいらない。ダイレクトに伝えればよく、究極企画はプロポーズだという。
無駄なものを省き、ストレートな短い一言が最もインパクトが強く、そこには変な駆け引きや小細工も必要ない。なぜなら何か裏があると感じた瞬間に相手に対して不信感を抱いてしまうからだ。そのため、大事な人にはどんなことであってもマイナス面はあらかじめ表に出した方がより信頼感が築ける。
また、企画は相手を説得することではなく、その気にさせることが重要だという。例えば「一緒に〜してもらえませんか」「こうすると面白いよね」「これがうまくいくと楽しいね」「手伝ってもらえませんか」というように誘うことで人を巻き込んでいけるという。確かに人から「これ一緒に手伝って」と突然何か渡されたら断る理由もなく無意識に手伝ってしまうだろう。
著者は過去に広告代理店で働いていたことにより、頼まれてもいない企画を常に考えてしまう職業病があるそうだ。例えば、お芝居を見に行った際には、もし第2弾の演出を頼まれたらと配役を考えたり、常に自分が見る側から作り手側にまわってしまうのだという。
評者も著者のように、ついビジネス思考を持ってしまう。レストランに食事に行っても、味が良いかどうかも大事だが、なぜこのエリアに出店したのか、この価格設定で利益は出ているのか。お店の目指す路線と内装や器等のバランス、お客さんの人数に対する従業員数、職業病ではないがいつもそう考えてしまう。もちろんそれは飲食店に限ったことではなく、どんな業界でも気になってしまう。
本書では、企画に焦点をあてた61の出会いの方法について書かれている。また、その内容について恋愛に例えて説明されているところが驚きだ。