HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】秋の行楽シーズン計画に!『駅から山登り 関東55コース』

 

 一日お休みが取れたら秋晴れの空の中、自然に触れ合ってリフレッシュしたい、そんな時におすすめのこの一冊。駅から、というコンセプトが何より有り難い。車は持ってないあなたも、身軽に靴とリュックを用意さえすれば行けるのだ!お手軽ハイキングに、山登り初心者に、乗り鉄活動のお供に、嬉しいことこの上ない。

 標高500mで3時間前後の「駅から」里山歩きの日帰りコースがたっぷり載っている。勿論解説地図は必ず目指す里山と最寄りの駅、その近くの観光スポットなどの散策ルートがかかれている。例えば、埼玉「物見山」のページでは、ある駅(高坂)に集合し、目指す山に登りながらJAXA地球観測センターに寄って隣の駅(武蔵嵐山)から帰る、などと計画を立てるだけでもウキウキするような情報目白押しだ。55コースもあるので、きっとお近くや魅力あるコースが見つかるだろう。旅行は計画が楽しいのだ。

 因みに評者がこの秋本書を参考に計画したルートを2つ紹介する。一つは「鎌倉アルプス」だ。JR鎌倉駅までのアクセスもばっちり書いてある。鎌倉幕府を支えた天然要害の約9キロの尾根道だ。途中見晴らしよく海岸線もみえる。最後は北鎌倉駅近くでランチをする予定だ。

 もう一つは、山梨、JR大月駅から標高634mの「岩殿山」を登り隣の猿橋駅に向かう3時間かからないルートだ。富士山の絶景、岩場を登る、帰りは温泉があるなど、盛り沢山のアドベンチャー。おすすめルートが地図や標高のグラフ、写真でも案内されているので、本を携帯しそのとおりに行けばよい。

 さらに電子書籍なら、スマホで隙間時間に読み計画だてるのも嬉しい。思い立ったが吉日、ぜひ週末の日帰り計画をたててほしい。

発行所 株式会社 山と渓谷社
発行 2017.1.31
著者 石丸哲也 

 

 

【書評】究極のマウントマネージメント!?『奴隷のしつけ方』

 

あなたは主人か、はたまた奴隷か。民主主義に葬られた奴隷制は、もしやマネージメント術と名を変えただけではないか。であれば人類史上長く君臨してきた奴隷制を、ある者は実社会に活かし、ある者は自らの身分を省みるのに役立つはずである。

舞台は奴隷制輝きし帝政ローマ。奴隷についてテーマごとに章立てされ、各章末に解説が付されている。まず、奴隷とはムチで打たれ死ぬまで酷使されるものだと思ったら大間違い。なにしろ奴隷一人あたり、ローマ人の年収かその半分程度と、それなりに値が張るのである。となると使い捨てにできるはずもなく、怠けないようにしつつモチベーションを持たせるといった長期的な管理が欠かせないことになる。

「奴隷の数だけ敵がいる」
どんな忠実な奴隷であっても、自由のチャンスを逃しはしないという古い格言だ。一見すると忠告のようにも見えるが、奴隷を使いこなした著者は幸運なことだという。いずれは自由になれるという夢を与えればよく働き、期待を裏切ればそれを棚上げにすればいいという。こういった賞罰のバランスをたくみに使いこなすことが主人には求められるのである。

本書全体を通して、かつてはこんな時代もあったのかと驚くことはない。むしろ現代においても、同じような使い使われる関係があることに気付かされるだろう。

最後に、初歩的な奴隷ルールを紹介したい。ローマ市民は元ローマ市民の奴隷を避ける。自由人として生まれた者を奴隷として使うのは「不快」だからである。例えば外国人実習生の問題は、奴隷を使いこなした古代ローマ人も食わぬ「不快なこと」が横行してはいないだろうか。

『奴隷のしつけ方』
作者:マルクス・シドニウス・ファルクス
発売日:2015年6月12日
メディア:太田出版

 

 

【書評】また役職が変わった!『社外取締役 島耕作』

 

課長、部長、取締役、常務、専務、社長、会長、相談役、そしてとうとう社外取締役だ!

社外取締役とは、意思決定者に社外のものを置くことである。社内の人間では、いろんな忖度が働いてしまうが、社外の人間だと利害関係なく意見ができる。それが社外取締役だ。

社外取締役となった会社は、オーナー社長の会社だ。社長はもう1-2年で世代交代したい。しかし、できれば息子に継ぎたいが、息子はどうも毎日遊び歩いているだけだ。また、30代とまだ若い。

一方で、社長には隠し子がいて、その隠し子はなかなか優秀な銀行マン。そして、50歳手前であり良い年齢。どうにか隠し子を社長にできないか。

そこで、登場するのが島耕作、いつものように、根回しを繰り返し、問題解決にあたる。レストランとゴルフ場と銀座の会員制バーそこで全てが行われる。これぞ日本企業。

これまでの大企業とは異なり、起こる問題がまた違う、ここにきて島耕作は新しい展開を出してきた。

 

 

【書評】もしかして・・・生まれ変われるかも・・・。『平成地獄ブラザーズ ハード・コア』

 

原作・狩撫麻礼、画・いましろたかしによるこの漫画は、グランドチャンピオンにて1991年から1993年に連載されたが、随分と歳月を経た2018年に、山田孝之主演・プロデュース、山下敦弘監督により映画化された。佐藤健なんかまでも出演している。
映画化のきっかけは、山田孝之から山下監督に放たれた、「『ハード・コア』って読みました?」という言葉だったらしい。

本作の映画化の発表に際し、狩撫麻礼はこうコメントしている。
いましろたかし君とコンビが組める。『ハード・コア』のすべては、そこから発想しました。最下層の男たちの世間とのギクシャク、それに尽きます。山下敦弘は良き映像作家である、と思います。映画に期待しています」
だが、その狩撫麻礼は、映画が完成する直前に亡くなってしまった。
きっと鑑賞を楽しみにしていたのだろうと思うと、残念に思う。

さて、狩撫麻礼の追悼本『漫画原作者狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP . STAND UP!!》 』を読んで感化され、改めて蔵書している狩撫麻礼原作の漫画を総浚いしていた私だったが、それもワンサイクル終了。
しかし、1990年代に入ってからは、殆ど漫画を読むことがなくなっていたので、幸い未読のものはいっぱい有る。
という訳で、今更ながら単行本を購入したのであった。

しかして読んでみたこの漫画。これは・・・なかなか強烈だ。
ボロアパートのゴミ溜めの様な部屋に住み、無為な日々を過ごす社会不適合者の権藤右近。近所の廃工場に寝泊まりし、住民票も無く、失語症で知恵足らずの牛山。自分のことを”はみだし者”だと分かっている右近は、もっとヤバい牛山を不憫に思い、放ってはおけない。
有事の際には、右近に頼れる者は一人しかいない。デキの良い弟、商社マンの左近。彼も次第に二人と親密な関係へとなっていく。
底辺に生きる右近と牛山の二人。その出口が見えない生活に、やがてとんでもない変化が起きた。
廃工場の地下から現れた、謎のロボットとの出会い。
右近は、この孤独な鋼鉄男を不憫な奴と思うのだった。
「俺たちは兄弟だ・・・”平成地獄ブラザース”・・・・・・とでも宣言するか」

世間と上手く交われぬ拗ね者を描かせたら右に出る者無しの狩撫麻礼と、ヘタウマっぽいけど、間や雰囲気がいい感じのいましろたかしの絶妙な画風。
傑作じゃねーか!
只々、夢中で読み耽ってしまった。

純粋と言えば純粋、愚かと言えば愚か。
八方塞がりの人生。その清算の仕方とは?

平成地獄ブラザーズ ハード・コア
作者: 作・狩撫麻礼、画・いましろたかし
発売日:2000年10月5日
メディア:単行本

 

 

【書評】 贈与のバトンを繋ごう! 『世界は贈与でできている』 

 

著者の近内悠太さんは、教育者•哲学研究者で、本書がデビュー著作。難しい哲学を、分かりやすく万人に理解できるように説き、文章だけで伝える著者の筆力に感服。暖かい気持ちになれます。

 誰もがヒーローになれるが、アンサング•ヒーロー(評価されることも褒められることもなく、人知れず社会の災厄を取り除く陰の功労者。
歌われざる英雄)を目指すことが望ましい。

•贈与を与える側は
 押し付けない。こっそり与える。
•贈与を与えられる側は想像力を持つ。
(世界が均衡を保っているのは、また、自分が生きていられるのは、誰かから贈与を与えられているからだと)
 
つまり、贈与に大事なのは“想像力“。

自分は“すでに“贈与を受け取っており、贈与のバトンを次へと繋げたいと思った。空気を吸って吐くように、
人知れず、ナチュラルに。

山口周 推しの自分。山口周 や落合陽一の著書が好きな方にはおすすめです。

発行:News picks publishing
第1刷発行:2020.3.13
作者:近内悠太 

 

 

【書評】ONCE THERE WAS THE GOLDEN AGE FOR FELLOWS.『BOX 暗い箱』

 

今となっては記憶も朧だが、本書が出版された時分の私は、あまり漫画を読むことはなくなっていた筈だが、多分たまたま書店で見掛け、瞬時に買い求めていたのだろう。
なんたって、原作は狩撫麻礼、作画が池上遼一ときたもんだ。こんな組み合わせを眼前にぶら下げられたら否も応も無いというものだ。
池上遼一が作画を担うのであればこれだ! と、狩撫麻礼が用意したモチーフはボクシングだった。
ボクシングと音楽と遁世は、狩撫麻礼の三大テーマなのだ。

戦後の混乱が収まった頃、昭和三十年代の東京。上野にある田島ボクシング・ジムには、将来を期待されていた吉岡というボクサーがいた。
数日後にはノンタイトル戦だが日本チャンピオンとの試合が組まれていた時、スパーリングで吉岡はマットに沈んだ。スパーの相手は同じジムに所属していた首藤という選手だった。
ラッキーパンチもいいとこ。そう諭すトレーナーだったが、吉岡にとっては気掛かりを残すに十分な出来事だった。
日本チャンピオンに勝った吉岡は、首藤と再度のスパーリングを望んだ。だが、結果は同じことだった。首藤は吉岡を圧倒したのだ。
たまにしかジムに顔を出さない、ろくに練習もしない、8回戦をうろちょろしている別にどうということのない奴。戦績も16戦7勝(5KO)9敗で誰からも期待されていなかったボクサー、それが首藤という男だった。
同じジム、同じライト級の二人。
「吉岡の次には、必ずおまえに世界を狙わせる」
ほくそ笑む会長の目論見はやがて砕け散る。
首藤が起こした女の不始末を咎めに、ジムへ乗り込んできたヤクザたち。ムショ帰りしたばかりの宮古という親分は、会長から首藤の才能を聴くと、意外なことを言い出した。
「チンケな色事は帳消しにしてやろう。俺の息のかかったジムへ移籍して、この吉岡と戦え」
田島ボクシングを後にする首藤。その時、吉岡を振り返り見た首藤の顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

何故、この時代設定なのだろうか。
アウトロー然とした首藤は確かに現代的とは言えないが、そればかりではあるまい。
兼ねてから狩撫麻礼は、骨のあるボクサーが全滅してしまったと作品の中で嘆いていた。
現代ではもはやマトモなボクシング漫画など成立しない。暗い動機を胸にリングに賭ける男たち。”あの頃”のボクサーを描きたい。狩撫麻礼はそう思ったのだろうか。

ONCE THERE WAS THE GOLDEN AGE FOR FELLOWS.
かつて男たちの黄金時代があったと、サブタイトルも訴えているのだった。

BOX 暗い箱
作者: 作・狩撫麻礼、画・池上遼一
発売日:1991年8月1日
メディア:単行本

 

 

【書評】等身大!個人事業主に!『自然とお客様が集まる愛され商品のつくり方』

 誰でも発信のできるこの時代、自分の経験や強みを生かして一人起業や副業の事業立ち上げをしてみたい、と誰でも一度は思うのではないだろうか。この本では、いわゆる起業塾などでフロントエンドを売る方法を教えて貰っても、じゃあバックエンド商品をどう構築しよう?というとき一から商品を作っていくのに参考にしたい著書自らの体験に基づく等身大のノウハウが得られるだろう。

 評者も自分のサービスを売っている。そんな私がこの本から得られた最大の知見はズバリ「ターゲットとその悩みを深掘りすること」である。著者の実体験をもとに説得力をもってこのことが強調されている。そして自分でもワークとしてターゲットとその悩みを深掘りできるように促される。
 評者も実際このワークをやってみた。すると、いままで明確でなかったことを言語化することにより、新たな方向性が見えてきた気がする。

 著者はさらにマイナスをゼロに持っていくのと、ゼロからプラスにするのとどちらが売れるのか、や商品は買える状態の準備がなければ誰も買わないことなどを説明し、月収100万円を目指す商品づくりについて論が展開される。

 人は「自分の悩みを解決」してくれるとものにメリットを感じる。その当たり前のことに焦点をあてた、個人起業のヒント。
KindleUnlimitedで手軽に読める。

Kindle書籍
2022.8.30
橋本 千夏

 

 

【書評】静かな人(内向型人間)の潜在能力の引き出し、生き抜くための戦略書。『「静かな人」の戦略書: 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』

2013年発行の『内向型人間の時代』に影響を受け書かれた本。活動的でコミュニケーション能力に長け、仕事や社会に大きく貢献する人たち。そのような外向型の人達が重宝される時代が長く続いた。

しかし昨今ビル・ゲイツマーク・ザッカーバーグイーロン・マスクのような
内向型の人たちがとてつもない能力を発揮し、世界の常識を変えている。この本はそんな「内向型」=「静かな人」の能力を最大限に引き出すための戦略書である。

本書によると静かな人の主な特技・特徴として、
・人の話をじっくりと聞くことができ、「表面より本質」を重視する事ができる
・大人数より「1対1」で深い関係をつくれる
・観察者で細かいミスに気づき、リーダーで集中力がある
・謙虚さを持ち、完璧な準備で「質の高い」仕事をする

があり、この能力を発揮する最も大事なことは、無理に外向型に変えようとせず、
内向型であることを受け入れ、内向型と付き合っていく事である。

本書の中で個人的に良かったところは、①気が乗らない参加必須のイベントでは、自ら運営側を手伝う事によって居場所を見つけるという方法があると気づかされたこと②内向型は外向型と組むことにより、長所が活かされるという2点でした。

私も含めた静かな人がこういった能力を開花させるノウハウがかかれた本であった。内向型の先進性に注目した『内向型人間の時代』と合わせて読んで頂きたいです。

著者 :ジル・チャン
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2022年6月28日

 

 

【書評】静かな人(内向型人間)の潜在能力の引き出し、生き抜くための戦略書。『「静かな人」の戦略書: 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』

2013年発行の『内向型人間の時代』に影響を受け書かれた本。活動的でコミュニケーション能力に長け、仕事や社会に大きく貢献する人たち。そのような外向型の人達が重宝される時代が長く続いた。

しかし昨今ビル・ゲイツマーク・ザッカーバーグイーロン・マスクのような
内向型の人たちがとてつもない能力を発揮し、世界の常識を変えている。この本はそんな「内向型」=「静かな人」の能力を最大限に引き出すための戦略書である。

本書によると静かな人の主な特技・特徴として、
・人の話をじっくりと聞くことができ、「表面より本質」を重視する事ができる
・大人数より「1対1」で深い関係をつくれる
・観察者で細かいミスに気づき、リーダーで集中力がある
・謙虚さを持ち、完璧な準備で「質の高い」仕事をする

があり、この能力を発揮する最も大事なことは、無理に外向型に変えようとせず、
内向型であることを受け入れ、内向型と付き合っていく事である。

本書の中で個人的に良かったところは、①気が乗らない参加必須のイベントでは、自ら運営側を手伝う事によって居場所を見つけるという方法があると気づかされたこと②内向型は外向型と組むことにより、長所が活かされるという2点でした。

私も含めた静かな人がこういった能力を開花させるノウハウがかかれた本であった。内向型の先進性に注目した『内向型人間の時代』と合わせて読んで頂きたいです。

著者 :ジル・チャン
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2022年6月28日

 

 

【書評】『ドラゴン桜』著者の三田氏の最新作『Dr.Eggs ドクターエッグス』

 

知られざる医学生の学生生活や勉強の中身を垣間見れる連載マンガ。成績がいいだけという理由でなんとなく地方の医学部へ入学した主人公。医師になる覚悟も意欲も無い状態で始まった学生生活。「自分は医師に向いてない、やめようかな」と初めは思ったりしていたが、2年生の解剖学実習を通して少しずつ「医師になる」覚悟と自覚を持ち始める。

解剖実習の描写がリアルすぎる。これでもかというくらいに医学生の内面描写と一緒に丁寧に描かれている。解剖実習において医学生に求められる体力と精神力は私の想像を遥かに超えていた。

舞台が山形県の大学なので、その土地の文化や風習も物語に取り込まれていてまた面白い。熊の解剖が出てきたり、花笠まつりが出てきたり。学生がその土地の風習とからんでいく様子も細かく描かれていて、知らない土地で少しずつ成長していく若者の姿を感じとれます。

著者は『インベスターZ』『ドラゴン桜』の三田 紀房氏。三田氏は「医師になる人は特殊な能力があると思われがち。そんなことはなく、地道な努力とスキルを身につけて、コミュニケーション力を高めて徐々に医師になっていく。その過程は他の職業と変わらないということを伝えられたらいい」と話している。

現在3巻まで発売されている。派手さはないが、細かな描写でじわじわと伝わる面白さが実にいい。カラダの仕組みに興味をそそられるだろうし、学生たちが少しずつ前に進んでいく姿に心動かされるだろう。

『Dr.Eggs ドクターエッグス』
出版社:集英社
発売日:第3巻 2022/9/16