知られざる医学生の学生生活や勉強の中身を垣間見れる連載マンガ。成績がいいだけという理由でなんとなく地方の医学部へ入学した主人公。医師になる覚悟も意欲も無い状態で始まった学生生活。「自分は医師に向いてない、やめようかな」と初めは思ったりしていたが、2年生の解剖学実習を通して少しずつ「医師になる」覚悟と自覚を持ち始める。
解剖実習の描写がリアルすぎる。これでもかというくらいに医学生の内面描写と一緒に丁寧に描かれている。解剖実習において医学生に求められる体力と精神力は私の想像を遥かに超えていた。
舞台が山形県の大学なので、その土地の文化や風習も物語に取り込まれていてまた面白い。熊の解剖が出てきたり、花笠まつりが出てきたり。学生がその土地の風習とからんでいく様子も細かく描かれていて、知らない土地で少しずつ成長していく若者の姿を感じとれます。
著者は『インベスターZ』『ドラゴン桜』の三田 紀房氏。三田氏は「医師になる人は特殊な能力があると思われがち。そんなことはなく、地道な努力とスキルを身につけて、コミュニケーション力を高めて徐々に医師になっていく。その過程は他の職業と変わらないということを伝えられたらいい」と話している。
現在3巻まで発売されている。派手さはないが、細かな描写でじわじわと伝わる面白さが実にいい。カラダの仕組みに興味をそそられるだろうし、学生たちが少しずつ前に進んでいく姿に心動かされるだろう。
『Dr.Eggs ドクターエッグス』
出版社:集英社
発売日:第3巻 2022/9/16