HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】おじさんを労い、励まし、応援する『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート〜今こそプロティアン・ライフキャリア実践!〜ファッションに無頓着なおじさんをオシャレに.…〜』

 

待ちに待った定年が間近に迫り、「定年後はのんびり過ごしたい」と考える人は多いそうだ。しかし、のんびりした生活は2ヶ月で飽きるという。会社の人以外に人付き合いをしてこなかった人たちは、同じ時間を共有する仲間もいなく、家族もそれぞれのコミュニティがあり忙しい。では、一体、何をすればいいのか?

著者は、そのような人たちのためにライフキャリア開拓を目的とし、定年前の準備や定年後のセカンドキャリアを応援する「おじさんLCC」(ライフキャリアコミュニティ)を運営している。本書では、定年後も生き生きと活躍するための実践的方法や定年前後にパラレルキャリアを実践している人たちの様子をインタビュー形式で掲載している。

大手コンピュータメーカーに勤務しながら、イメージコンサルタントとして活躍する坂井二朗氏は、入社した当初、本業のテクノロジーにあまり興味を持てなかったそうだ。しかし、興味のあるファッション業界担当の営業となったことで仕事も頑張れ、現在ではミドルシニア以上の男性の魅力を向上させる仕事をしている。

会社員時代にはスーツがユニホームがわりになり、プライベートではどんな服装をしていいのかわからない人は多いという。しかし、くたびれたような服装をしていれば、それぞれの人が持つ素晴らしい内面も周りの人には伝わらない。誰もがスッキリとした装いで、笑顔で街中を歩けば、世の中全体が明るくなる。そのような想いでイメージコンサルティングを行っているそうだ。そして、最も嬉しいことは坂井氏の年頃の娘さんたちからもファッションのアドバイスを求められることだという。

海外と比べて日本ではまだまだイメージコンサルタントは人々の日常にはなっていないようだが、少しのアドバイスをもらうだけで、より魅力的な自分となり、新たな定年後ライフを送れるのだから、まずは定年後の準備の一つとしてコンサルティングしてもらうといいだろう。

『PRESIDENT』
https://bookrev.horiemon.com/entry/2022/05/11/220000

 

 

【書評】時代は変わっても、僕たちは生きていく『君たちはどう生きるか(漫画版)』

 中学2年生の時に、
小説版の本書を学校の推薦図書として読書した。
当時は内容が難しくて、
内容が全然理解出来なかった。

今回、自分が大人になったのと、漫画版ということもあり、非常に読みやすく、強く共感できる内容だった。

人として尊厳を持って生きる、人間としてあるべき姿を求め続ける。

80年前に書かれた本だけど、どの時代でも、どの年代の人にもこれからもずっと読み継がれる名著。
僕の中には、リトルコペル君がいる。みんなの中にもリトルコペル君がいる。自分がコペル君から、コペル君のおじさんの歳まで成長できたように、次の世代に
しっかりとバトンを紡いでいきたい。

君たちはどう生きるか
吉野源三郎  原作
羽賀翔一      漫画
第1刷発行 2017.8.24
第11刷発行 2017.11.20

 

 

【書評】失意のどん底にいた私を変えた。『プラスワン思考』

プラスワンとは、「もう一つ」「もう一回」「もうひと工夫」といったプラスアルファの意味合いであり、プラスワン思考は、そういった心構えだと言う。

著者は歯科医院の院長先生。
進路について考えた高校時代に、サラリーマンという選択は無かった。会社の歯車にはなりたくない。
母方の叔父が歯科医師だったことが影響し、広島大学の歯学部に進学。6年間を歯科医師として必要な知識、技術とを学んだ。
卒業後は愛知県蒲郡市にある歯科医院に就職。
8年間の下積みを経て、いよいよ開業へ。
2015年4月。愛知県日進市で「あじおか歯科クリニック」をオープン。
集客も順調。忙しくも充実した日々を送っていたが、開業から4ヶ月目にスタッフから渡されたのは数枚のレポート用紙。そこには箇条書きされた著者とクリニックに対する不平不満が書き綴られていた。
思ってもいなかった事態に戸惑いつつ、関係の修復を試みるも、結局2名の歯科衛生士、1名の歯科助手のオープニングスタッフは全員辞めてしまったのだった。

周囲に不満を漏らす著者。
だが、或る知人が言ったひと言が、そんな著者に変わるきっかけを与えた。
「本当にスタッフさんが悪いのかな? 先生だってクリニックの経営に甘さがあったんじゃないの?」
スタッフが悪いのではなく、非は自分にある。経営者としてのスキルを備えていなかった。ゆえにスタッフは辞めてしまったのだ。
自分から変わらなくてはならない。
そう考えた著者は、経営やマネジメントを学び始め、やがて、プラスワン思考に辿り着いた。

自分の「当然」は、スタッフの「当然」ではなかった。
理念・ビジョンをきちんと共有することが出来れば、経営者とスタッフ間に齟齬が生まれることはない。
そして、プラスワン思考で自らを変えることで、スタッフも変わる。スタッフが変わることでお客様との関係も変わる。地域社会との関わり方だって変わるのだ。

今ではクリニックも立ち直り、毎年売り上げ20%アップで黒字経営を継続させているという。
著者がプラスワン志向で挑んだ数々の改善策とは? それは本書を手にしてお確かめください。

個人的には、医師業もそうだが、美容師、エステシャン、士業など、資格を取ることや、技術を学ばせることはしても、経営についてなんら指導することのない環境はやはり問題があると感じた。
如何にしてマネジメントすべきか、どうやって売上を上げるか、そんな学びの場を与えるべきだろう。
そして、そこにはビジネスチャンスが有ると思うのだが、どうだろうか。

プラスワン思考
作者:味岡武志
発売日:2022年3月20日
メディア:単行本

 

 

【書評】臨場感あふれるバイク旅行紀第二弾『珍夜特急 2nd season 1―カナダ・アラスカ―』

路線バスでユーラシア大陸を横断した『深夜特急』をオマージュしたバイク旅行記第二弾。

約1年かけてバイクでユーラシア大陸横断を果たした筆者の帰国後から物語はスタート。

 

本作品はほぼノンフィクションであり、筆者がバイク旅で経験した内容が具体的かつ詳細に、時には蛇足も混じりながらであるが描かれており、非常に臨場感あふれ、自分も一緒にバイク旅行しているかと錯覚してしまう。

 

筆者は、ユーラシア大陸横断からの帰国後、一時的にある種の「英雄」となったものの、すぐに現実社会の厳しさに直面。

日雇に近い暮らしを続けていたが、新たな生きる目的を探すために、再び旅に出ることを決意。

次はユーラシア大陸より難易度の高いアメリカ大陸縦断。アラスカの最北端から南米の最南端までの過酷なバイク旅がスタート。

本書はその序章となるカナダ、アラスカ編。私自身もであるが大半の人が訪れたことがない彼の地で北極圏を目指し、ハイウェイとは名ばかりの道を走破していく。

その道中では、バイク故障や事故、初夏の北極圏ではあるある?の大量の蚊の襲来など、様々なトラブルに出くわしながら、目的地に向けて諦めず前進していく筆者の勇敢さが羨ましく感じる。

 

海外旅行の刺激が欲しい人は、ぜひ一読を。

一気に読めて気分爽快になる一冊である。

 

珍夜特急 2nd season 1―カナダ・アラスカ―

作者:クロサワ コウタロウ

発売日:2013/10/6

メディア:Kindle

 

 

【書評】DXの真の意味は、変容・変革することにある。『DX CX SX』

世は万物流転。
ビッグデータ」と言う言葉が散々喧伝されたのは2010年代前半のこと。一昔前だ。
兎に角、何かの役に立つかもしれないからデータは採っておけ。そういう「何がなんでもIOT」と言う時代は過ぎ去った。「データ主導」ではなく、目的ありきのデータ収集でなければ、活用化されることなく無駄骨になり、更には、維持管理するコスト増をいたずらに招くこととなる。
そして目的は、部分最適より常にビジネス全体最適に重きを置くべきだ。理由は簡単な話。部分最適だけでは、工程のどこかで1点でも最適化漏れがあれば、そこがボトルネックとなる。その箇所に合わせて全ての工程がペースダウンしてしまうからだ。
現代の社会では様々なモノゴトがネットワークで繋がって、データが相互にやりとりされることで成り立っている。一部分にこだわっていては問題は解決しない。

そして、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を、単純なデジタル活用や、今までのIT化の延長と混同してはいけない。
DXの本質とは、企業やビジネスを様々な外圧や変化に耐えられる様に柔軟に変化出来る姿に「トランスフォーム(変革、変容)」することであり、「デジタル」は、その手段に過ぎない。デジタル技術を活用してビジネスモデルや商材、業務プロセス、企業カルチャー、そして企業のあり方そのものを変えることがDXなのだ。
先行きが分かり難いVUCA(Volatility 〈変動性・不安定さ〉、Uncertainly 〈不確実性・不確定さ〉、Complexity〈複雑性〉、Ambiguity〈曖昧性・不明確さ〉)の時代だからこそ、「ダイナミック・ケイパビリティ(環境や状況が激しく変化する中で、企業がその変化に対応して自己を変革する能力)」を企業は備えるべきなのだ。

と、まぁ、著者は、これまでの経験も踏まえ、DXに関する総論、各論、手法、具体例、さらには取り組むに当たって起こり得る問題や障害と、その解決策についてもあれこれ詳述する。
その内容は実に細やかで真摯だ。
また、著者が類推する、今後20年のトレンドを読む上での観点は、以下の5つに大別出来るそうだ。
1.現実世界の仮想化
2.仮想世界のリアル化
3.業界の境目がなくなる
4.リモート化が進行する
5.SDGsとESG経営
そして、幾つかの強調される言葉やツールも非道く印象的だ。
「デジタルツイン」
「魔のデッドロック
「境目」
「バックキャスト」
なかでも、あらゆるビジネスシーンでデジタルツインが実現すると「業界」という定義が無意味なものになる、と言う見方は実に興味深い。
そして、DX化を進め、まず社内で活用し、そのデータ、システム、技術などを外販出来る様にまでなれば、新たなプラットフォームを生み出し、自らの事業領域を拡げることも可能となるのだということは、なかなかDX化を推し進めることが出来ない企業には僥倖だろう。

人口減少の一途を辿る日本。だからこそDX化は必然だ。
なぜデジタル化、どうしてDX化をすべきなのか。
本書はそれをロジカルに教えてくれる。
「唯一生き残るのは、変化に適応して変化するものである」(チャールズ・ダーウィン種の起源」より)

DX CX SX
作者:八子 知礼
発売日:2022年4月1日
メディア:単行本

 

DX CX SX

 

【書評】東野圭吾による現代版『罪と罰』

 

本小説、タイトルが秀逸。「光と影」、「昼と夜」、「白鳥とコウモリ」。そして、本作の「被害者の娘と、殺人犯の息子」。
なぜ私の父が殺されなければならなかったのか、
なぜ父は今回、そして過去と2度にわたり、人を殺めたのか。

警察や弁護士からは、
事件の真相の追求よりも、裁判を有利に進めていくテクニックの説明ばかり。

お互いが事件に対し、疑問・不審を抱き、白鳥(美令)と、コウモリ(和真)は、それぞれ
真相を探し求める。
2人は事件現場付近で2回も偶然遭遇する。
2回目の遭遇で、お互いに確信する。
「この人は真実を探し求めている。」

被害者の娘と、殺人犯の息子。2人は意見交換していく中、驚愕の事実を突き止める。それがきっかけで、事件の真相が一気に明らかに。。。

真実はただ1つ。
事件が時効を迎えたり、風化したとしても、
被害者家族・加害者家族の抱える闇は消えることはない。

後半から点と点が線で繋がり、事件の真相が解き明かされていく展開に
めっちゃハラハラドキドキした。

本作はまさに現代版、東野圭吾先生による「罪と罰」。500ページを超える大作だったが、すごく面白かった。ぜひ映画化
して欲しいと思ったおすすめの1冊です。

作品名:白鳥とコウモリ
作者:東野圭吾

 

 

【書評】ワインの壮大なスケールを感じよう『「家飲み」で身につける 語れるワイン』

 

ワイン好きは本書を思わず手に取ってしまうだろう。事実、私は手に取り読んでしまった。
語れるという飲む者の心を引きつけて非常に魅力的なタイトルである。

ワインスペシャリストである筆者が、ワインの発祥からの歴史、産地ごとの特色やエピソード、ワインを楽しんで飲める基礎知識などを織り交ぜながら、近くの酒屋で買えるお手軽銘柄を中心に紹介している。

序章ではワインの起源としてオレンジワインとして最近注目されているジョージアのワインを紹介。なんと新石器時代と言われている8000年前から飲まれていたようだ。なんとフルボディのワインが飲まれていたというのだ。非常に興味深い。
しかし、交通の要所であったジョージアは繰り返しの侵略でぶどう畑が荒らされワイン大国になることはなかったそうだ。
このような、エピソードが随所に散りばめられているので、飽きずに最後まで読み切れる一冊である。

読了後も、紹介されているワインを飲みながらエピソードに目を通すのも良いだろう。

ワインを飲む日常が更に楽しめることは間違いないが、一緒に楽しむ方々へドヤ顔で語らないように注意したい。

「家飲み」で身につける 語れるワイン
作者:渡辺順子
発売日:2022年3月18日
メディア:単行本

 

 

【書評】ワインの壮大なスケールを感じよう『「家飲み」で身につける 語れるワイン』

 

ワイン好きは本書を思わず手に取ってしまうだろう。事実、私は手に取り読んでしまった。
語れるという飲む者の心を引きつけて非常に魅力的なタイトルである。

ワインスペシャリストである筆者が、ワインの発祥からの歴史、産地ごとの特色やエピソード、ワインを楽しんで飲める基礎知識などを織り交ぜながら、近くの酒屋で買えるお手軽銘柄を中心に紹介している。

序章ではワインの起源としてオレンジワインとして最近注目されているジョージアのワインを紹介。なんと新石器時代と言われている8000年前から飲まれていたようだ。なんとフルボディのワインが飲まれていたというのだ。非常に興味深い。
しかし、交通の要所であったジョージアは繰り返しの侵略でぶどう畑が荒らされワイン大国になることはなかったそうだ。
このような、エピソードが随所に散りばめられているので、飽きずに最後まで読み切れる一冊である。

読了後も、紹介されているワインを飲みながらエピソードに目を通すのも良いだろう。

ワインを飲む日常が更に楽しめることは間違いないが、一緒に楽しむ方々へドヤ顔で語らないように注意したい。

「家飲み」で身につける 語れるワイン
作者:渡辺順子
発売日:2022年3月18日
メディア:単行本

 

 

【書評】地方でビジネスを行なう上での哲学。『新ローカルベンチャー経営』

昔からその土地で商売をしている。
地元のつながりが強い。
周りの商売事情が気になる。
目立たなくてもコツコツと続けている。
ローカルビジネスというと、上記の様なイメージではなかろうか、と著者は言う。
地域の活性化を図り、地方ならではの盛大なイベント、道の駅、地元のキャラクターなどの町おこしは行なわれているが、観光客を集めることには役立っても、その地方の経済を豊かにする様な効果を上げているとは思えないとも言っている。
では、これからのローカルベンチャーには何が求められているのか。
著者の考える「新ローカルベンチャー」に求められる5つのポイントはこうだ。
1.地元の経済圏・コミュニティに依存しない。
2.地元の発展に貢献する。
3.他社資本に頼らない。
4.多角的な事業展開。
5.新しい経済圏を創り出す。
本書ではこのポイントたちを解説していきながら、自らがこれまで行なってきた、若しくは進行中の事業についても紹介する。

著者は、北海道にて起業。まず小さなモバイルキャリア取扱店を始め、数年で実績を認められ正規販売代理店になり、その後北海道以外を含めて21店舗まで拡大した。
経営の安定を目指して事業の多角化を図るが、その領域は、「飲食」「雑貨・アパレル」「ITサービス」の3つにこだわって展開。
加えて、多角化に際して、携帯ショップという有形サービスから、無形サービスへと転換しようと、インターネット上の仮想店舗も手掛けている。

1軒の携帯ショップから、年商50億円超えにまで成長したベンチャー企業の社長。
そんな著者のこだわりは、次の三つに集約される。
「他人のやらないことをやる」
「やる以上は諦めない」
「難しいことも面白みを持ってチャレンジする」
そして彼の夢は、
「アップルパークの様なものを十勝に作ろう」
誰がなんと言おうと、決定事項なのだそうだ。
そういう大きな夢があるからこそ、試練や苦労もなんのその。そういうものなのかもしれない。
「やるなら、とことん、おもしろく」

新ローカルベンチャー経営
作者:木田直樹
発売日:2022年3月21日
メディア:単行本

 

 

【書評】数字に強いと言われたい人必読『いまさら聞けない「数字の読み方」超基本』

仕事で「あの人は数字に強い」とはよく聞くが、会計知識に長けている人のことかと思っている方も多いのでは無いだろうか?
BSとかPLとか、その言葉を聞いただけでアレルギーを起こす方もいるかもしれない。

会計は苦手であるが数字に強くなりたい、そのような方に最適な一冊である。
ちなみに会計の本では無いので要注意。

客観性のある材料として数字を用いて、数字を軸として意思決定をするもしくは促すことを癖づける方法論が29STEPに分かれているので隙間時間に読みやすい。

途中、少し首を傾げたくなる例えもあるが、ここはご愛嬌。

感情論を徹底的に除外して数字という合理的な指標に基づいた議論が問題解決の第一歩になる、これをできる人が本書で言う数字に強い人である。
確かにこれができていない組織や人が多いので、癖づけると非常に強い武器になると感じた。

では数字に強い人になるためにはどうすればいいのか?
前半の18STEPを読んで実践あるのみ。数字という具体的な指標に基づき仮説を組み立てていく考え方を習得できるのですぐに実践できる。

後半は前半STEPを補完するためのTipsが中心なので、興味があれば読んでも良いかと感じた。
まずは前半のみ読んで実践して癖づける、これが数字に強い人になる近道である。