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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】失意のどん底にいた私を変えた。『プラスワン思考』

プラスワンとは、「もう一つ」「もう一回」「もうひと工夫」といったプラスアルファの意味合いであり、プラスワン思考は、そういった心構えだと言う。

著者は歯科医院の院長先生。
進路について考えた高校時代に、サラリーマンという選択は無かった。会社の歯車にはなりたくない。
母方の叔父が歯科医師だったことが影響し、広島大学の歯学部に進学。6年間を歯科医師として必要な知識、技術とを学んだ。
卒業後は愛知県蒲郡市にある歯科医院に就職。
8年間の下積みを経て、いよいよ開業へ。
2015年4月。愛知県日進市で「あじおか歯科クリニック」をオープン。
集客も順調。忙しくも充実した日々を送っていたが、開業から4ヶ月目にスタッフから渡されたのは数枚のレポート用紙。そこには箇条書きされた著者とクリニックに対する不平不満が書き綴られていた。
思ってもいなかった事態に戸惑いつつ、関係の修復を試みるも、結局2名の歯科衛生士、1名の歯科助手のオープニングスタッフは全員辞めてしまったのだった。

周囲に不満を漏らす著者。
だが、或る知人が言ったひと言が、そんな著者に変わるきっかけを与えた。
「本当にスタッフさんが悪いのかな? 先生だってクリニックの経営に甘さがあったんじゃないの?」
スタッフが悪いのではなく、非は自分にある。経営者としてのスキルを備えていなかった。ゆえにスタッフは辞めてしまったのだ。
自分から変わらなくてはならない。
そう考えた著者は、経営やマネジメントを学び始め、やがて、プラスワン思考に辿り着いた。

自分の「当然」は、スタッフの「当然」ではなかった。
理念・ビジョンをきちんと共有することが出来れば、経営者とスタッフ間に齟齬が生まれることはない。
そして、プラスワン思考で自らを変えることで、スタッフも変わる。スタッフが変わることでお客様との関係も変わる。地域社会との関わり方だって変わるのだ。

今ではクリニックも立ち直り、毎年売り上げ20%アップで黒字経営を継続させているという。
著者がプラスワン志向で挑んだ数々の改善策とは? それは本書を手にしてお確かめください。

個人的には、医師業もそうだが、美容師、エステシャン、士業など、資格を取ることや、技術を学ばせることはしても、経営についてなんら指導することのない環境はやはり問題があると感じた。
如何にしてマネジメントすべきか、どうやって売上を上げるか、そんな学びの場を与えるべきだろう。
そして、そこにはビジネスチャンスが有ると思うのだが、どうだろうか。

プラスワン思考
作者:味岡武志
発売日:2022年3月20日
メディア:単行本