決算書はミステリー。数字を手がかりに決算書を読み解くのは、ナゾトキだと著者はいう。簿記や会計を学んでも決算書が読めるかどうかは別問題。なぜなら、現在は財務のプロである著者自身も、学生時代には会計のゼミに所属し、さらには大学院でも経済学の修士課程で学んだにもかかわらず決算書が読めなかった。そんなナゾから本書は始まる。
何か武器が欲しいと考え簿記2級を取得し、投資にも興味を持ち始めたものの、転職をしようか検討中の中村さんと決算書を見ただけで数字に書かれた企業の本心を見抜ける宮田さん。二人の登場人物がストーリー形式で決算書のナゾを解いていくのだが、誰もが知っている実在する複数の企業の決算書からビジネスモデルを解き明かす。決算書の読み方、経済のプロでも読み解けなかった複雑な決算書、赤字でも絶好調の理由、銀行員が見るポイント、株式投資で重視するところなど盛りだくさん。
決算書が読めるということは、お金の流れをつかめるということ。決算書を読むスキルが身につくとみえる世界が一変するそうだ。本書では、そんな重要な決算書の読み方を楽しくエンタメとして学ぶことができる。とはいえ、ワンランク上の会計を知りたい人や経営者視点から学びたい人にも満足できる内容だと著者はいう。