本書では、父の時計部品製造会社を突然引き継ぐことになった娘の早苗が、会社を経営していくために学んだ会計の知識について書かれている。
会計の知識を学ぶ一つの方法として紹介されているのが「マネージメントゲーム」だ。参加者全員が製造業の社長となり、二日間で五年分(五期)の経営を体験する。
評者は、元々経営に興味があり、子供の頃から経営ゲームが大好きで、特に海外のものにはかなり夢中になっていた。そのため、本書に書かれている経営の流れをリアルに体験できる「マネージメントゲーム」に参加した。
評者も早苗と同じように学生時代に簿記を学んだため、有利になるのではと期待したが、本書によると「簿記=会計ではない」ため、実際にゲームを進めていくと、簿記の知識は完全に裏目に出てしまった。
また、未経験者であってもゲームの戦略は教えてもらえないルールのため、頼りになるのは自分だけ。自分の意思決定により、会社が黒字にも赤字にもなっていく。
丸二日間経営の疑似体験が出来て楽しかったが、決算書の数字がなかなか合わず、昼休みでも決算書が気になり、二日間、決算書と電卓だけをほぼ見つめて計算していた気がする。そのため、他にどんな人が参加していたのかも覚えていないぐらいに熱中した。
しかし、そのような中でもビジネス書によくある借金をした方がいいという意味がよくわかった。なぜなら、借金をしたことにより、会社は黒字に転換することができたからだ。
また、一日目が終了すると、三. 五期と呼ばれる飲み会も行われるそうだ。評者はお酒をあまり飲まないため、二次会や飲み会は普段から参加しないのでよくわからないが、そういうのが好きな人にとっては、お酒を飲みながら二日目のゲームに活かせる内容が学べる場にもなるのだろう。
経営ゲームでもこれだけ夢中になるのだから、実際に会社を経営すればよりスリリングなゲーム?を体験することができるだろう。