HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】並々ならぬ努力の積み重ねに脱帽『年収1億円を稼ぐ1日1分投資』

多くの“にわか投資家“が「お金を得たい」願望を胸に株式市場に参入する。
ビギナーズラックで資金を増やせたとしても長く市場に留まれば資金を溶かしてしまうのが株式市場。

著者は、そんな厳しい世界に20歳で飛び込み、考えぬいた末に選んだ銘柄を1点買いすることで50万円の元手を600万円にした。
著者の凄いところは、投下した資金を12倍に増やしたあとに、調子に乗ることなく次の投資をするまでに時間を置いたことである。
理由は、大学の授業で学んだ「ゲーム論理」。
2人の犯罪者が逮捕され取り調べを受けたとき「2人とも黙秘を貫いたら懲役2年」。「最初に自白した犯罪者は釈放、自白しなかった方は懲役10年」。「2人とも自白した場合は2人とも懲役5年」。
この条件下でゲームをすると、ほとんどのプレイヤーが2人とも自白して懲役5年になることを知ったのである。
つまり、「人は一定の条件が揃うと同じ行動をとってしまう」生き物である。

悪いニュースが出たとき、誰かが反応して売り始めると同調する投資家が次々に注文を入れ市場は暴落する。その反対であれば、買いが買いを呼んで市場価格が押し上げられる。
人間が売り買いを続けている限りこの動きは継続される。その感情が記録されたモノがチャートなのである。

著者は、相場で負けないために、大口注文で影響を受ける時価総額3000億円以下の小型株には投資しない。
予想外の値動きに翻弄されないために決算発表前に保有株を手仕舞う。
キレイで分かりやすいチャートを描いている銘柄で取引する。など、資金を投下するタイミングを厳選することで勝率を高める手法を確立した。

本書では、テクニカル分析の基礎であるローソク足の読み方を解説。解説後に初級~上級者レベル分けされたチャートから未来を予想するクイズが掲載されている。
著者の鋭い分析に膝を打つ考察を伺い知ることができる。

テレビや雑誌で「ストラテジスト」、「アナリスト」を名乗る評論家がコメントしている姿を見かけるが、彼らの中で自分の資金を運用している人がどれだけいるのかは疑問である。
それに引き換え著者は、2年間、株式研究を重ねたあとに自己資金を投資して年収を1億まで増やした実践者である。
情報を聞くのであれば、どちらが正しい答えを持っているのかは考えるまでもないことである。

『年収1億円を稼ぐ1日1分投資』
作  者:山下 勁
発売日:2017年8月26日
メディア:SB Creative