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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】誰もが羨むこの力を身に着けよう『暇力』

 インパクトのある題名は、時間に追われる現代人の誰しも持ちたい力であろう。著者は、かつてはハードワーカーそのものであった、年商20億円の化粧品会社CEO松本氏。暇さえあれば、好きな事が出来て精神的にも豊かになるだろうし、結果的に生産性は上がるだろう。経営層そして社員も含めどうすればその「暇力」を作りだせるのか。その答えを求めて読み進める。

 著者は、そもそも経営者自ら、働くことを再定義することを唱えている。経営者マインドをまず変えること、そこから従業員にも時間の自由が浸透すると読み取れる。
これを可能にしているのが、本書で頁を割かれている「プロジェクト制」の導入である。
 図解も付き分かりやすいが(因みに著者が経営者として磨きあげたスキルの一つに誰でも分かるようにかみ砕いて話す力、があるという。)従来の「フォルダ制」、つまり部署毎に人が配置されるのではなく「付箋制」つまり担当者に幾つもの色の違う付箋が貼られているような、プロジェクト毎にメンバーが変わる制度だ。それは単なるマトリックス制とも違い、社員に役職は無い。プロジェクトは誰が提案しても参加してもよく、経営層が3ヶ月単位でのそのプロジェクトをやるかやらないかの承認をする。働き方も業務委託でも良く、当然テレワークも主流で、責任に見合った報酬も全て個人が選択していく。そして権限委譲により経営者はいわゆるビジネスオーナーにも近くなり、暇が生まれ、社員も時間や報酬の自由度が増すのだ。

 また、著者の経営を通した人生訓も面白い。「人、環境、運」を掴むこと、特に運のなかでも人との出会い運が肝で、それを呼び寄せるのが環境。つまり意図的に環境を変えることが人運につながるのだと読み取れる。このあたりは、読者もすぐに取り入れられることではなかろうか。出会い運を使うことにより経営者は、重要なことを決断する以外は先のとおり安心して人に任せ、暇を掴むという構図だ。

 本書の経営論は、中小企業経営者や個人事業主には勿論、大組織内で仕事をマネジメントするのにも参考になるであろう「ユルく」「賢く」令和時代を生き抜くヒントが散りばめられている。

・2022年11月30日
・けやき出版 発行 
・著者 松本毅史