知人の経営者が出版をしたと言うので読ませていただいた。
著者は、株式会社MACオフィスという、オフィスコンサルティング事業を行なっている会社の代表取締役社長兼CEOだ。その彼が、自身の得意分野である企業組織の賃貸オフィス戦略についての数々を披露する。
私としては、コロナ禍によりテレワークに乗り出す企業も確実に増えたこの世の中に於いて、経営者はオフィスの存在というものを、どの様な視点で捉えれば良いのだろう。それも知りたいという思いを以てページを繰った。
これからのオフィス戦略を考えるに当たって心強い武器となるのはファシリティマネジメントである、と著者は訴える。それを上手く使いこなせるかどうかで長期的な企業価値は大きく左右されてしまうと言うのだ。
しかし、日本のファシリティマネジメントに於いては、その担い手が極めて少ない。必要に応じて総務部や管理部が片手間に担当する様な脆弱な体制であり、それでは新しい働き方に相応しい快適な環境づくりは成し得ない、とも言う。
それでは、そのファシリティマネジメントとは具体的には如何なるものであろうか？
アウトソーシング化の重要性とは？
そして、WEOマネジメントサービスというものを著者は提唱する。
移転を前提とするのではなく、場合によっては残留することも候補としつつ、最適化された働く環境とは何か、本当に今必要なオフィス環境とはどんなものかについてを導き出し、価値の高い選択肢をクライアントに提示するものだ。
費用を節約しながら、賃貸オフィスでも画期的に働きやすい職場環境を手に入れることができる。
このWEOマネジメントサービスについて、事例紹介や対談なども交えながら本書は詳述していく。
著者は、これからの時代は、経営者のファシリティマネジメントに対する正しい理解と解決こそ、経営を左右する重大なテーマになってくるという思いで本書を執筆したと言う。
このことを経営者たちが理解し、経営面の改善を生むこと。それが著者の望みなのだろう。
彼の会社、並びに彼自身の今後の展望については、終章である自らの半生を描いた私小説に表れている。その筆力はなかなかに巧みで、こちらも読み応えがある。
業界の裏表を知りつくすプロ経営者が教える賃貸オフィスの最強戦略
作者:池野 衛
発売日:2021年12月3日
メディア:単行本
