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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】過去の延長線上に未来がある。本当にそうだろうか?『スモールカンパニー「最速のブルー・オーシャン戦略」』

儲かっているから暫くこのままでいい。それで本当に良いだろうか? 現状維持に甘んじているスモールカンパニーの多くが、そう遠くないうちに淘汰されていくのではないか。
そう懸念を示すのは、一貫してスモールカンパニーの経営支援に携わってきた著者である。
前著、『スモールカンパニー 本気の経営加速ノート』から三年。「勝ち組、負け組」から「ボロ勝ち組、ボロ負け組」へと格差は深刻化するのではないかと予想する著者は、スモールカンパニーは自らを「特別化」するべきだと主張する。
「差別化」ではなく「特別化」だ。
自らがイノベーション(変革)を実現出来なくても、自らをリノベーション(刷新・改革)することは必ず出来る。イノベーションか死か? それともリノベーションによる「特別化」の道を進むか。
過当競争の環境に於いて、顧客から競合相手と比較されない特別なポジションを獲得して、残存者利益を独占するのだ。
やるか、やらないか。

顧客がモノそのものに対して価値を置く時代は終わった。
モノは既に飽和しているからだ。
高級商材ばかりではない。品質や価格だけでなく、顧客との関係性の構築が重要になる。
そこに必要とされるのは”何か(something)”だ。
如何なる商品も、そのライフサイクルは終わりを遂げる。破壊的イノベーションをもたらして市場を席巻した大手は、レッドオーシャン化に際し、自ら市場から撤退する。
“何か(something)”を提供することで「特別化」出来れば、スモールカンパニーこそが、焼け野原の様な市場でも尚、価格を維持しながら残存者利益を得ることが可能になる。
この、自社だけに広がる小さなブルー・オーシャンを、著者は「ブルー・スポット戦略」と呼ぶ。
「顧客との関係性(関係価値)」を構築し、商品力のみへ依存したビジネスモデルから脱却するのだ。
関係性を得る為には、顧客構成を特別客とも言えるロイヤルファンで埋め尽くすという戦略へと行き着く。なぜなら、スモールカンパニーの潜在的な総客数は最初から決まっているし、圧倒的なシェアも取れないとなれば、一顧客との長期間の取引関係から生み出される利益、顧客生涯価値(ライフタイム・バリュー)を最大化する以外に成長出来る土壌が無いからだ。良質なリピーターを増やす他にない。
全ての顧客をロイヤルファンにするには、売り手はどうあるべきか? 「特別化」の4要素とは?

特許取得のサプリメントを配合したという変わったお水『サプリメント in ウォーター MCMのめぐみ』のメーカーの代表取締役である私にとって、まさに全ての顧客にロイヤルカスタマーになっていただくのが目標である。
目的こそ若干違えど、目標は同じ。その手法である4要素にしても共感をした。
認識を新たにする良い機会を得られた一冊である。

スモールカンパニー「最速のブルー・オーシャン戦略」
作者: 原田 将司
発売日:2020年4月11日
メディア:単行本