昨今の起業ブームに乗っかったはいいが、ちょっと待て。効果的な売り方、営業をしているか?広報戦略はどう考えているか?
ひとり起業は、夢は大きくとも、実際問題日常の集客と時間管理という2大課題るから、いってみれば広報への力は本業に費やす時間・力と分散してしまうのが常だからだ。しかし本書は、ひとり起業・ひとり社長に対し、広報という切り口からのアプローチで悩みの集客や時間管理への処方箋ともなっている。
ひとりでも、いやひとりだからこそ広報する必要性、それは見込み顧客との接触回数を多くすることや、既存顧客へも現状認知をしてもらうことのにつながることなどが本書では繰り返されている。では具体論はとなると、話題作りのための8つの小ネタアイデア、例えば〇周年記念・新発売・季節に応じた広報など。また量は質を凌駕するため、兎に角週に一回、月に一回など頻度を決めて発信することの有効性が示されている。
時間がない、への処方箋としては、スキマ時間にいかにインプットをするか。著者自らのひとり広報実践のためのインプット材料が惜しげもなく公開されている。VoicyやYouTubeなどの音声をながら聞きで時間を2倍作り出すことは勿論だ。
また、知識よりも重要なマインドの節がなかなか良い。ひとり社長は自ら決定権者なので、組織として判断が早く小回りが効くというのは最大の利点だ。しかしながら、いざマインドの強さに翳りがでたり迷いが生じると、その特徴は諸刃の剣、すぐさま鈍さに現れるのだ。そんなときに本書は『広報という仮面をかぶる』と言っている。自らを仮面で別人と見立て、マインドに左右されない広報を実行していくのだ。
ひとり広報を戦略的に。これはひとり起業の行く針路を変えるものとなるだろう。
著者︰小野 茜
発行所︰クロスメディア・パブリッシング
発行日︰2022年11月18日