「ハウツー本なんか読むな、実戦で学べ」。よく聞く話だ。勉強から入ろうとする奴は伸びない。インプットよりアウトプットしろ。私も賛成である。だから『新規事業の実践論』みたいな本はなるべく読まないようにしていた。しかし、である。読んだら意外と面白かった。
本書の特徴は、社内起業に焦点を当てている点だ。日本のサラリーマンは企業から生活を保障されている。つまりノーリスクで挑戦することができる。これから人生100年時代、会社に言われたことだけをやっている人間は定年後必要とされない。だからこそ、社内起業で新しい価値を生み出す力をつけよう、というわけだ。具体的には社内起業を6つのステップに分け、各段階で達成すべきこと、注意すべきことを教えてくれている。
一番心に残ったのは、最初の段階において「顧客に300回アプローチしろ」ということ。新規事業推進部には往々にして優秀な人材がアサインされるが、みなやってしまう失敗が「調査、資料作成、上司や関係部署への相談」などに多くの時間を費やしてしまうこと。そんなことするよりも、とにかく顧客にアプローチしてトライアンドエラーを繰り返せ、と。
オススメしたいのは社内で新規事業に取り組んでいる方々だ。社内起業に興味を持っている方にももちろんオススメである。私のようなハウツー本を食わず嫌いしている人も、騙されたと思って手に取ってほしい。
ハウツー本もたまには悪くないと思う。