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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】壮年期の恋物語を下敷きに、2人が生まれる前から死んだ後までを描いた珠玉の詩集『女に』

詩集や歌集というのは、本当にその人がそこにいるような感覚になります。背表紙を見ると、妖精みたいな谷川さんが、本棚に座って脚をぶらぶらさせているような気がします。

本の装丁って、皆さんが思っている以上に、作る人達は、すごくこだわりを持っています。詩集は、その最たるもの。装丁も含めての「表現」なのです。この「女に」と言う詩集の装丁は、とても贅沢な作りで、変形サイズ、ハードカバー、さらに本を入れる入れ物も付いています。これから詩集を自費出版したい私には、ここまで贅沢な作りはできないけれど、「こんな詩集にしたいなあ」と考えているお手本です。

とある朗読会で、谷川さんがこの詩集の詩を読んでいたら、客席にいた妻の洋子さんが耐えきれなくて出て行ったと言うエピソードを聞いたことがあります。そのぐらい、佐野さんとの日々に谷川さんが感じたことが、率直に描かれています。ときにロマンチックにときにシニカルに、様々な角度から恋を、性を、身体を描いた36篇。

詩集には、見開き右に1つの詩が、左に1つの絵が描かれています。1頁ごとに、にっと笑ってしまったり、きゅんとしたり、赤面してしまったり、虚になったり、立ち尽くしてしまったり。
コーヒーでも飲みながら、谷川さんの深い内的世界を、ぜひ味わってみてください。

著者 谷川俊太郎
1991年
マガジンハウス