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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】キャラ濃い武士たち大集合!『トンチキ鎌倉武士』

 頼朝ファミリーから鎌倉殿13人、北条、平家のメンバー40人以上を紹介している。複数の史料をベースにトンチキな逸話を混じえてやさしい言葉で書いてあるので、歴史書としては読みやすくて軽いノリの雰囲気。読みながら武士たちを勝手に「こんな人だったのね」と想像して楽しめる。
 歴史上の人物をみるときに興味をそそられることの一つが、末裔がどこにつながっているかを知ることだ。例えば鎌倉時代のスーパーブレーン「大江広元」の代表的な末裔は毛利家!毛利輝元広島城を築城する際に誕生したという「広島」という地名は、大江広元の「広」という字に由来しているとも伝えられているとか。時代と時代がリンクしたときの興奮はやみつきである。
 こんな逸話もある。たった6か月間の天下人に終わった木曽義仲だが、コアなファンがいたらしい。江戸時代には俳人松尾芭蕉が義仲の超オタクだったようだ。「木曽義仲の墓の隣に埋葬してほしい!」という芭蕉の遺言どおり、義仲の隣に今も墓が立っている。田舎者の乱暴キャラと描かれている義仲だが、どこか素朴なところ?に芭蕉は惹かれたのだろうか・・・。
 2022年は大河「鎌倉殿の13人」を史実を照らし合わせながら、鎌倉時代にどっぷりはまって最後まで見た。ドラマはあくまでもドラマであって、創作部分があることを承知の上で楽しむのがよい。そもそも現存する史料も正直どこまで本当のことなのかは誰にもわからない。有名な「吾妻鏡」は北条側がまとめているので、北条に都合のいいように編纂されがちなのは当然である。にしても、濃いキャラが多くて面白かった。大河を見た人には特に本書をおすすめしたい。人物がわかるだけによりイメージが簡単にできて読みやすいだろう。ドラマの俳優の顔が浮かんできてしまうのだか。
 味方と敵がコロコロ変わるハチャメチャな鎌倉時代。それぞれの武士の壮絶な人生が本書にギュッと詰まっている。ただこの濃いキャラ武士たちの中には入りたくない(笑)。

著者 長谷川ヨシテル
発行日 2022年9月10日
発行所 柏書房株式会社