婚活アプリて知り合った架と真美。
結婚の段取りをすすめていた2人。
ある日真美は忽然と姿を消してしまう。
失踪前に真美が漏らしていたストーカーの存在。
真美は事件に巻き込まれてしまったのか？
架はストーカーの正体を必死で探す。
果たして真美の安否は？
架と真美、2人の運命は？
恋愛サスペンス、恋愛ミステリーものかなと思って読みはじめたが、さすがは辻村深月さん。
圧倒的に考えさせられる内容となっています。。
恋愛・結婚感を切り口に、進学・就職・友情・家族、様々な問題を複雑に抱えて生きる現代人の“傲慢と善良“につて、深く抉ってきます。
あらゆる選択をしてきたのは
本当に「私自身」なのだろうか…
生きていく痛みと苦しさ。
その先にあるはずの幸せ。
辻村深月が描く圧倒的な恋愛小説。
前評判が良いのも納得の1冊。
ただ、内容がヘビーで、色々と考えさせられます。
子離れすることが出来ず、良かれと思って娘の就活や婚活にまで介入する真美の両親。
両親の【傲慢さ】に嫌気がさし、早々に上京した真美の姉。
一方、
両親の【傲慢さ】を傲慢ととらえることなく、【善良さ】を持って、30歳まで両親のもと、地元で生きてきた真美。
【善良さ】ゆえに、他の女性が普通にしてきた
恋愛の駆け引きやしたたかさを身に付けることができなかった真美。
圧倒的に【善良】な真美だが、実は真美の中にも【傲慢さ】は存在し、男性の服装や、乗っている車で相手を評価し、凝り固まった自分の価値観や、ものさしでのみ相手を測るという【傲慢さ】が存在する。
架目線で描かれた第1章と、真美目線で描かれた第2章。
視点を変えることで、
【傲慢】と【善良】は誰もが持ち合わせ、接する相手との関係や、状況によって【傲慢】と【善良】のどちらの面が出るかは、コインの裏表のように簡単にクルクルと変わってくるというのを巧みに表現。
著者の人間の心理描写のうまさを改めて感じた。
良くも悪くも、人間は社会的動物である。
う〜ん、何事もバランス感覚が大事と思った。
作品：傲慢と善良
作者：辻村深月
発売日：2019.03.05
