私たちは、なぜ買い物をするのだろうか。もちろん、「生きるために生活必需品を得るため」という答えが返ってくるだろう。それでは、もしも生活必需品は自動的に手に入るとしたら、私たちは買い物をしなくなるのだろうか。
コロナによって、時代の流れは変わったのではなく、大幅に早送りに進んだ。日常のあらゆる場面において、デジタル化が急速に進んだ。そしてこの流れは止まることはないだろう。
そんなこれからの時代の「買い物」において、キーワードとなるのが「つながり」である。
20世紀はモノが爆発的に増えた大量生産・大量消費の時代。
21世紀初頭は情報が爆発的に増えた時代。
これから先、今後10年間はつながりが爆発的に増える時代。
著者はこのように予測する。
つながりと言っても家族や友達のような強固なつながりではなく、”弱いつながり”がどんどん増えていくそうだ。そして「人のつながり」よりも「コトのつながり」が浸透していく。
それはつまり、個人個人の「好き」が起点となり、知らない人同士がつながっていくということだ。すでにそのつながりで生まれた買い物需要もある。
例として、ソーシャルEコマースの世界で今最も熱いサイト、中国の「ピンドゥドゥ」が挙げられる。ピンドゥドゥのアプリを使えば、知らない人同士で一緒に買い物を楽しめる。
知らない誰かが買ったものを知っている。知らない人と買い物をする。知らない人とご飯を食べることさえある。
日本人の感覚では理解が追いつかないほど、中国のソーシャルEコマースは進んでいるそうだ。
Eコマースは
①目的→②発見→③楽しい
という進化の過程を辿っている。
そしてこうした変化は店舗なども含め、買い物全般において言えるのだろう。生活者は「モノ」ではなく「目的」を買うようになっているし、さらに言うと「目的」より「楽しい」を追い求めるようになっているのだ。
急速に時代が変化することは少し怖くもあるし、悲観的な見方もいくらでもできるだろう。けれど生きるために、毎日同じものを同じ店に買いに行くのではなく、知らない人とつながり、楽しむために買い物をする。そう聞くと、なんだかこれからの時代にワクワクしてこないだろうか。