HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】「好き」が起点となり、知らない人同士がつながっていく。『買い物ゼロ秒時代の未来地図 2025年、人は「買い物」をしなくなる<生活者編>』

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私たちは、なぜ買い物をするのだろうか。もちろん、「生きるために生活必需品を得るため」という答えが返ってくるだろう。それでは、もしも生活必需品は自動的に手に入るとしたら、私たちは買い物をしなくなるのだろうか。

コロナによって、時代の流れは変わったのではなく、大幅に早送りに進んだ。日常のあらゆる場面において、デジタル化が急速に進んだ。そしてこの流れは止まることはないだろう。

そんなこれからの時代の「買い物」において、キーワードとなるのが「つながり」である。

20世紀はモノが爆発的に増えた大量生産・大量消費の時代。
21世紀初頭は情報が爆発的に増えた時代。
これから先、今後10年間はつながりが爆発的に増える時代。

著者はこのように予測する。

つながりと言っても家族や友達のような強固なつながりではなく、”弱いつながり”がどんどん増えていくそうだ。そして「人のつながり」よりも「コトのつながり」が浸透していく。

それはつまり、個人個人の「好き」が起点となり、知らない人同士がつながっていくということだ。すでにそのつながりで生まれた買い物需要もある。

例として、ソーシャルEコマースの世界で今最も熱いサイト、中国の「ピンドゥドゥ」が挙げられる。ピンドゥドゥのアプリを使えば、知らない人同士で一緒に買い物を楽しめる。

知らない誰かが買ったものを知っている。知らない人と買い物をする。知らない人とご飯を食べることさえある。

日本人の感覚では理解が追いつかないほど、中国のソーシャルEコマースは進んでいるそうだ。

Eコマースは
①目的→②発見→③楽しい
という進化の過程を辿っている。

そしてこうした変化は店舗なども含め、買い物全般において言えるのだろう。生活者は「モノ」ではなく「目的」を買うようになっているし、さらに言うと「目的」より「楽しい」を追い求めるようになっているのだ。

急速に時代が変化することは少し怖くもあるし、悲観的な見方もいくらでもできるだろう。けれど生きるために、毎日同じものを同じ店に買いに行くのではなく、知らない人とつながり、楽しむために買い物をする。そう聞くと、なんだかこれからの時代にワクワクしてこないだろうか。

 

 

【書評】答えではなく、生きやすい価値観を知ることが出来る一冊『ブレイクセルフ~自分を変える思考法 職場で、人前で自分を出せない人のための』

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自分は何かをようやく出来るようになったとしても、それは他の人にとっては普通の事であり、悪くするとそれ以下だと思っていた。
本書は他者と比べるのではなく、自分がやりたい事,考えた事を表現するヒントについて、著者の経験からくる思いと想いをまとめた一冊である。

最も共感できたのは、恐怖心から今出来ることを一生懸命やっていたという点だ。
しっかりとした準備と行動力の源は、人との関係が上手くいくか不安だったからという事が分かり、親近感を覚えた。

常に謙虚でなくてはならないという事も印象に残った。
あらゆる価値観を許容し、人を区別せず、見聞きする点は見習わなければいけないと思った。

本書に答えはない。
あるのは全編を通じて筆者自身からの、読者への「問い」である。

筆者の価値観との対話を読者に求める良書だと感じた。
本書との対話の中で、是非自分なりの答えを見つけてほしい。

 

 

【書評】死んだ後にのこすものとは何か。『人生何を成したかよりどう生きるか』

 

”天地は永遠で、始めも終わりもない。人間には生死があり、人生には限りがある”
江戸後期の漢詩人である頼山陽の言葉を以って始まる本書は、日本を代表する思想家 内村鑑三の名著『後世への最大遺物』のメッセージを、現代の読者に届けたいという思いから生まれた。
その内容は、夏休みに若者たちを集めて講演した著者の言葉であり、100年以上前のものである。

二日間に分けた講演。そのテーマは、「この世にのこすべきものとは何か?」
一日目は、まずはお金、そして事業をのこすことだと語る。
キリスト教信者である著者は、お金や事業などのことを口にすると信者からそしりを受けるのだが、それは間違いであると主張する。
欲を持つのはいけないことなのか。
少しでも世の中をよくしたいと思うのであれば、「清らかな欲望」を持ち、死んだ後にのこすものを創造してよいのではないか。
第一にのこすべきもの。それはまずはお金であり、第二にのこすべきものは事業であろうと言い、それぞれ如何に尊いものであるかについて述べている。

二日目は、お金や事業はのこせなくとも、だれもがのこせる唯一のものがある、と説く。それはすなわち思想であり、これが第三にのこすべきものであると言う。
思想を文字にして後の世にのこすことで、世の中のためになる。自分と関わりを持たぬ人々にまで影響を与えることが可能になる。文学は自分の死後も戦い続けてくれるのである。数ページの詩が永遠に人を励まし続けることだってあるのだ。
そして、講演は最後に著者が自らの信念を語って終わる。
それは、「信じる思想を実際に積み重ねて、真面目な一生を送ったという事実を後世に遺したいと強く願っていることあると言う。

何故、今この本が必要なのか。
当時は明治維新後の激動の時代。そんな時代に生きるなか、自分は恵まれてはいないと思っている人たちに向けて、どう生きていけばいいのかということを、徹底的に弱者の視点に立って書かれたのが本書であり、時を経てもその言葉の持つ意味や輝きが陰ることは無い。コロナ禍のさなかに於いて尚更生きる指針を見失いがちになってしまう時こそ、変わらぬ真理を知ることは大切な事であろう。

 

 

人生、何を成したかよりどう生きるか

人生、何を成したかよりどう生きるか

 

 

【書評】おじさんによるおじさんのための、世知辛い世の中を生き抜く指南書。『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』

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本書は、自称”冴えないおじさん”の著者が、会社の隅っこに追いやられて日々を生きる世のおじさんたちに向けて、地味ながらも幸せにこの世の中を生き抜く術を書いたものである。

40代半ばにしても課長になれず、窓際係長に留まっていた冴えないおじさんが、人生挽回した「世界一地味な方法」。それはタイトルのとおり、「地味な資格を取る」ことだった。では地味な資格とは何なのか。それはずばり「法人に必要とされる資格」「一般の知名度は低いけれど、実は稼げている資格」である。

具体的に、地味な資格として本書で挙げられるのが「社会保険労務士」「行政書士」「宅建士」などだ。
士業の資格は努力に対してリターンが大きい「コスパ」のいい資格なんだとか。努力次第では年収1000万円に達することも可能であり、また対応範囲が広いため、ニッチなブルーオーシャン分野を開拓できる可能性も高く、より大きなリターンが見込める。学習時間や難易度は少し高くとも、取得後に仕事につながりやすく、努力するだけの価値は十分にあると言えるのだ。

本書の優しいところは、ただ資格を取ることを勧めるだけでは終わらないところである。「地味な資格」を取ることが有効である理由からはじまり、忙しい社会人に適した勉強法、勉強を継続するためのモチベーションを維持する方法、そして資格を活かして仕事を見つけ、稼げる人になるための方法までを網羅的に、具体的に教えてくれる。著者の成功体験も失敗体験も赤裸々に書かれているので、本気で資格を取ろうと考えている読者には非常にありがたいつくりになっている。

そして気をつけなければいけないこと。資格というものの恐ろしいところは、合格したら満足してしまうところである。試験の合格は目的ではなく通過点であることを忘れてはならない。真の目的は、手に入れた資格で安定した生活と収入を手に入れること。つまり最も大事なのは資格を取ってからの行動となる。資格取得後に取るべき行動も、本書では抜かりなく教えてくれる。

おじさんに限らず、資格を取ってそれを活かしたい人、人生の方向転換をしたい人は読んでみてはいかがだろうか。

 

おじさんは、地味な資格で稼いでく。

おじさんは、地味な資格で稼いでく。

 

 

【書評】超豪華な著名人トーク!『SALON DESIGN No.8 2020 Nov.』

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この雑誌では、竹中平蔵佐々木俊尚西村博之田中里奈、箕輪厚介、茂木健一郎などの錚々たる顔ぶれのトークやインタビューが満載です。
メディアをよくチェックする人ならば、複数人か少なくとも一人は知っている著名人がいるはず。
彼らが、時事問題や“自分らしく生きる方法”について赤裸々に語っています。
これほどの内容がワンコイン(500円)で読めるのはSALON DESIGNだけではないでしょうか。
この書評では、SALON DESIGN No.8の大まかな内容と私が個人的に印象に残ったインタビュー記事についてご紹介します。

まずは、スペシャルインタビューに登場した茂木健一郎について。
彼は、脳科学者として著名ですね。メディアに登場することも多く、数多くの書籍も執筆しています。
彼はこの雑誌の中で、先行きが見通せない状況を打破する方法の一つとして、「好きなことを一生懸命やり続けること」を主張しています。
彼によれば、好きな分野で突き抜けた個性を発揮することができれば、きっと仕事に繋がったり、ポジティブな未来に繋がるとのこと。
これは、まさに堀江貴文が主張することともリンクしています。

また、他のインタビュアーについても、第一線で活躍している人ばかり。
内容も、“今”聞きたいことや“今”こそ役に立つことが満載です。

他には、SALON DESIGNを読むことによって、ホリエモン万博の全容やHIU(堀江貴文イノベーション大学校)の概要を理解することができます。
実は、初めてホリエモン万博やHIUに参加する人にとって、その全体像を把握することはかなり難しいと言えます。
なぜなら、内容があまりにも多岐に渡るから。
ぜひ、ホリエモンイベントやHIUに興味がある人はご一読して下さい。

以上で、SALON DESIGN No.8 の書評を終わります。
堀江貴文という強烈な個性を持つ人間を中心に、様々な著名人やHIUのメンバーが集まって作られたのが本書です。
きっと、値段以上の価値を得ることができるでしょう。

horiemon.thebase.in

【書評】因果関係や時系列でばかり物事を考えるから、人は生きることが苦しくなる。『SALON DESIGN No.08 2020 Nov.』

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前号は電子版で読んだので、次は紙版を購入してみた。豪華著名人へのインタビュー記事や万博特設ページがあり、豊富な内容なので電子版でも十分楽しく読めるのだが、やはり紙には紙の良さがある。思えば雑誌というものを久しく買っていなかった。表紙に映る田中里奈さんを見て、学生の頃わくわくして雑誌を買いに行っていたことを思い出した。何が載っているんだろうと想像する、あの時間も雑誌を読む楽しみのひとつだった。

今号は人生を楽しむためのヒントが詰まっているように感じた。なかでも、ジャーナリスト、作家である佐々木俊尚氏と堀江貴文氏の対談記事が面白かったので、そこから少し、佐々木俊尚氏の言葉を引用したい。

VRやARが変化していくと世界中にTwitterのような空間があって、その世界の中で自分が今どのあたりにいてどう見えているのかっていうことが、空間的に俯瞰できるようになる。そうなってくると、だんだん自分がいる場所とか、世界とどうつながっているのかとか、もっと明確に自分の皮膚感覚で感じられるようになると思うんです。そうすると、因果関係、時系列ではなくても気持ち良く生きられるんじゃないかと思います。”

逆に言うと、因果関係や時系列でばかり物事を考えるから、人は生きることが苦しくなるんだろうか。自分はどの位置にいるのか、自分のいる範囲はどれくらいなのか、空間を意識すること。それが生きる実感につながる。難しいけど、とてもおもしろいと思った。佐々木俊尚氏の新著「時間とテクノロジー」も本書で紹介されていて、とても面白そうだ。

本書には著名人だけでなく、HIUで人生を楽しむ人たちも多く登場する。彼らの行動原理はシンプルだ。「やりたいからやる」それだけである。因果関係で物事を考えているわけではないのだ。何かになるため、成功するために好きなことを探し出す。そういう人も多いけれど、そもそも自然体でいて、好きなことを好きなようにやっていたら、少なくともその瞬間は幸せでいられるんだから、それでいいんじゃないか。それをしていられる場所として、オンラインサロンを活用するのはとても良いことだと思う。そこで仲間ができたりして、生きている実感を得られたりしたら、それはとても素敵なことなんだろう。

オンラインサロンに興味がある人、HIUに興味がある人、人生をもっと楽しみたい人はぜひ読んでみてほしい。個人的には紙版がおすすめだ。 

horiemon.thebase.in

【書評】"好きなことを仕事にするって当たり前"『SALON DESIGN Vol8』

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本誌は、固執した働き方の概念を変える一冊である。
一冊500円の『SALON DESIGN』を読めば、人生を変えられる学びの方向性が定まる。一冊千円以上もする自己啓発本はいらないと分かるだろう。

『SALON DESIGN Vol8』で、最も印象的な記事は、田中里奈さんがインタビューで語られた、"「好きなことを仕事にする。」って雰囲気ありますけど、そもそもそういうものだと思って生きていました。"である。

なるほど、私たちは好きなことに対して、少々難しく考えすぎていたのかもしれない。

一方で、もしこの考え方が一般的なら"好きなことで活動している・しようとしている人を後押しする。"がコンセプトの『SALON DESIGN』は全く売れていないだろう。

しかし、僅かながらでも売れているということは、好きなことを仕事にする際に不安を感じる人が、多かれ少なかれ存在する証しだと思う。

あなたの中の漠然とした不安が拭いきれないのなら、『SALON DESIGN Vol8』は必読だ。田中里奈さんの他にも、箕輪厚介さんの"即決力"や茂木健一郎さんの"人生を豊かにする3つの方法"も行動したい気持ちを後押ししてくれるだろう。

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【書評】なるほど!地方議会の仕組み! 『地方議員は必要か 3万2千人の大アンケート』

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2019年の統一地方選挙に合わせて、地方の政治を深堀りする取材をしたいという企画が立ち上がり、全国の3万2450人の地方議員(都道県議会議員、市区町村議会議員)へ議員の活動に関するアンケートを実施した。各議会の事務局宛に人数分送付し、そのうちの59.6%にあたる1万9325人から回答を得た。本書は、そのアンケート結果からの地方議会の分析が主である。「地方議員は必要か」というタイトルなので地方議会に関わる人にとっては挑発的に思えるかもしれないが、「メディアは議員の不祥事の時しか報道せず良い活動はほとんど報道できていない」という思いもあり、全体的には地方議員に期待することや頑張ってほしいことが多く書かれている。

なるほど、そうだったのか・・・。評者はこの本の第1章を読むまで首長と地方議員の役割の違いが分かっていなかった。違いが分からないまま、選挙で投票し続けていた。どういうことかというと、首長には自治体の予算案を提案するという役割があり、対する地方議員は首長が提案してきた案を修正したり、質問や意見および議決することで一緒に作り上げていく役割はあるものの、地方議員の提案がそのまま直接、自治体の予算に反映されるわけではないということだ。それゆえに首長が選挙公約に挙げることは直接的に実現されやすいが、各議員が選挙の時に「こんなことを実現したい」と言うのは、私が当選した暁には、「首長に働きかけてそれを実現できるようにします」ということである。分かっている人には当たり前のことかもしれないが、私は今までその違いがよく分かっていなかった。

第5章には、議員のなり手不足について書いている。評者は地方議員のなり手不足問題は、当選時は良いにしても落選時に無職になってしまうという状況にあると思っている。平日の日中に議会が開催されるところが多いため、一般的な会社員が兼業しながら議員を行えるという環境は全国的にほとんど整っていない。そんな中でも長野県南部の喬木村議会では平成29年12月から夜間・休日議会を開催している。開催した上での検討点等は「休日・夜間議会の取り組みに関する議員検証アンケート取りまとめ結果」という言葉で検索してもらうと喬木村議会の資料が出てくるのでそれを見てもらいたい。夜間・休日議会を開催すること、それだけで、なり手不足の解消につながるわけではないようだが、なり手不足解消の有効な手法の1つにはなるのではないかということが示されている。その他の手法も組み合わせればより多くの人が自分が議員になることを考えやすく、活発な議会運営につながっていくのではと思う。

アンケートの分析からは、「そんな変な議員がいるのか」と驚くようなものもあるが、本書は全体的には地方議員の役割に期待するという内容である。地方議会に興味がある人、地方議員になりたいと思っている人、現に地方議員である人などにオススメできる。

 

 

【書評】世界に誇れる着物は、なぜ謎だらけなのか?『着物の国のはてな?』

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着物は、非日常の気分を味わえる楽しいアイテムだと著者はいう。しかし現在は、夏祭りや花火大会、結婚式やパーティー会場を除けば、和服姿の人を見かけることは少ない。なぜなら、着付けのルールや複雑でわかりづらいマナーが多すぎると人々が感じるからだ。

さらに自称着物歴が長い着物警察の取り締まりもあるため、着付けを習った人でも恥ずかしくて外では着られず家の中のみで着ている人もいるほど、着物の国は謎だらけ。そんな謎を一つずつ解決していくのが本書の目的だ。

着物の素材は現在では利便性も求められ様々な種類があるが、上質の天然素材である正絹は、吸水性、放湿性に優れ、蒸し暑い夏には涼しく、厳しい冬は暖かく日本の風土に適している。しかし、着物を一枚作るのに三千もの繭が使われ、生地の染めや仕立てに手間や時間がかかり大量生産によるコストダウンができない。店頭に並ぶまでには複数の会社が関わり価格は高騰する。そのため着物一枚、何十万、何百万円は当たり前。購入のためにローンを組む人もいるほどだ。

時代は変わり、四十年前はニ兆円あった市場規模も現在はその七分の一。その理由は着物の需要は減少し、高くて当たり前の時代からリサイクルショップやネットショップで気軽に購入出来るものとなったからだ。そんな状況でも着物自体は季節感を表す花や植物、生き物、趣味のデザインがあり、モチーフが豊富でユーモアに溢れている。

また、美しい手書きの絵が描かれた作家ものや、大正ロマンあふれる独特な色遣い、伝統工芸のような刺繍が施されたり、美術館に飾られるほどの芸術作品を誰でも手軽に身につけたり、リメイクすることもできる。また、それは二つとなく人と被ることもないため、今の時代だからこそできる面白さが着物にはあるのだ。そんな日本が誇る着物を活用しない手はない。

同じように考える人は山ほどいるが、そのモチベーションが継続する人はなかなかいない。著者のように気づいたら自らが行動する。人生ではそれが重要なことなのだとつくづく感じた。

 

着物の国のはてな

着物の国のはてな

  • 作者:片野 ゆか
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: 単行本
 

 

【書評】”これで終わりにしようかな” ユーラシア大陸西端を経てゴール、ロンドンへ!陸路旅行記の最終章『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』

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「デリーからロンドンまで乗り合いのバスで行く」主人公"私"の旅、全6巻の最終巻。ロンドンまであとわずかマルセーユで旅を終えることに納得がいかない”私”はゴールとは反対のイベリア半島ユーラシア大陸西端ポルトガルへ旅の汐時を見つけに向かう。

最終巻でも様々な人との出会い、それに端を発するトラブルやエピソードが詰まっており、あぁこんな旅をしたいなぁと羨ましく感じることができる。
リスボンでの酔っ払い男、サグレスでのペンション経営の親子、パリの屋根裏部屋をタダ同然で貸してくれた日本人との出会いなど、”私”は無意識なのかもしれないが、自分から人に接触したり、普通ならば敬遠するところにも向かって行く、このような行動力がエピソードを生み出すのだろう。

本書での一文、”ほんとにわかっているのは、わからないということだけかもしれないな”、これは旅だけではなく何にでもあてはまるのではと感じた。国でもいいし、民族や宗教でもいいが、完全に理解することはできないと心に留めておけば、固定観念から離れて考えることができるし、このような思いで旅を続けてきたからこそ満喫できたのであろう。

ロンドンの中央郵便局から「ワレ到着セリ」との電報は打てたのか?一気読みの最終巻、リアルな旅が出来ない世の中だからこそ、この本で旅をしよう。