「デリーからロンドンまで乗り合いのバスで行く」主人公"私"の旅、全6巻の最終巻。ロンドンまであとわずかマルセーユで旅を終えることに納得がいかない”私”はゴールとは反対のイベリア半島、ユーラシア大陸西端ポルトガルへ旅の汐時を見つけに向かう。
最終巻でも様々な人との出会い、それに端を発するトラブルやエピソードが詰まっており、あぁこんな旅をしたいなぁと羨ましく感じることができる。
リスボンでの酔っ払い男、サグレスでのペンション経営の親子、パリの屋根裏部屋をタダ同然で貸してくれた日本人との出会いなど、”私”は無意識なのかもしれないが、自分から人に接触したり、普通ならば敬遠するところにも向かって行く、このような行動力がエピソードを生み出すのだろう。
本書での一文、”ほんとにわかっているのは、わからないということだけかもしれないな”、これは旅だけではなく何にでもあてはまるのではと感じた。国でもいいし、民族や宗教でもいいが、完全に理解することはできないと心に留めておけば、固定観念から離れて考えることができるし、このような思いで旅を続けてきたからこそ満喫できたのであろう。
ロンドンの中央郵便局から「ワレ到着セリ」との電報は打てたのか?一気読みの最終巻、リアルな旅が出来ない世の中だからこそ、この本で旅をしよう。