情報が公平に行き渡る世の中において、差をつけるのは「学習量」と「行動量」である。驚くことに、日本人は大人になってからの勉強量が先進国の中でもワースト1位なんだそうだ。理由は、「別にやらなくても何となく生きていけるから」。つまりこれを逆手に取ると、「やれば周囲に圧倒的な差をつけられる」ということになる。
本書は、ビジネスマンに役立つ情報を配信している人気YouTuber、ハック大学のぺそさんが、「スキルを身につけ力を発揮したい人」「他者へ働きかけ市場価値を高めたい人」へ向けて書いたものだ。
マインドセット→学ぶ→考える
という自己完結型の内容から、
動く→伝える→管理する
と他者へ影響を与える内容へと移行していく流れになっている。
最近は「思考停止」という言葉を流行り言葉のようによく聞くが、本書を読むとその言葉の意味を改めて考えさせられる。
本書において著者が何度も使っているのが、「頭に汗をかいているか?」という言葉だ。これに「はい」と答えられないということが、思考停止している状態と言えるのだろう。
ではそうならないためにはどうしたらいいのだろう。
本書評の冒頭で、差をつけるのは「学習量」と「行動量」と書いたが、これはどちらか一方だけ増やしても意味がなくなってしまう。行動を伴わない学習は無意味だし、学習のない行動はただ空回りしているだけである。
大事なのは学習しながら行動する、という良循環を生み出していくことなのだ。そうすると否が応でも頭に汗をかく状態になる。そして「とりあえずやってみる」という行動の数が多ければ多いほど、思考の量は多くなる。
本書を読むという行為においても、読了する義務感ではなく、「どう役に立てるか」を念頭につまみ食いしてほしいと著者は言っている。
評者も学習するだけで終わってしまうことが本当によくあるので、本書は自分を見返すとてもよい刺激になった。けれど残念なことに、意味のない学習や行動が好きなことは今後も変わらなそうなので、「頭に汗をかいているか?」と時には自分に問いかけるようにしていこうと思う。