HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】能力高いベンチャー社員よりも能力低い大企業社員の方が年収は高い『戦略がすべて』

どれだけ個人の能力が高くても、戦略の前には弱者に破れる。そんな原則を通すことができずに苦しい状況に立たされている地域や企業や人がとても多い。

世の中は戦略がすべてであり、ではどうするべきかを本書は教えてくれる。戦略を立てるためにまずは情報を収集することが重要だ。知恵は知識の上に成り立つ、できない理由は知らないことである場合が多い。

自分はこれだけ高い能力を持っていて且つ結果も出しているにも関わらず年収は低い、これは結局のところ報酬が価値に付随していることを知らないがために陥っている状態だ。スペシャリストのあなたが作るクリエイティブな成果よりも、大企業でぬくぬくと漫然に働く人の年収の方が高い。結局のところその大企業の生み出す価値の一人当たりの均等割した価値の方が、あなたの生み出す価値よりも大きいからだ。

あなた一人の能力がずば抜けて高くても、サラリーマンである以上報酬は属する企業生み出す価値に準ずる。今の時代お金が報酬のすべてではないが、その事実は抑えなくてはならない。あなたの目的が高給を取ることであるならば、今の戦略は変える必要がある。

これだけ頑張っているのに報われない、これだけ成果を出しているのに評価されないと今の現状に踠いている人はぜひ本書を手に取ってほしい。あなたの能力が低いわけじゃない、きっと戦略が間違っているのだ。

戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書)

【書評】歴史を学び、人のふり見て我がふり直しませんか?『昭和の怪物 七つの謎』

日本の歴史は皆学校で習うが、つまるところテストのための暗記科目と化している。
ただ歴史から学べることは多くあり、「人のふり見て我がふり直す」のにうってつけの科目である。
本書では歴史の教科書で語りきれなかった、歴史的人物の人間面を浮き彫りにする。

特に注目なのが、「東條英機」と「石原莞爾」の比較だ。
東條は自分の味方だけで人事を固めたり、課題を精神論で解決しようとしたり、とても国のトップになるような人ではない。
対して石原は東條とは真逆の思考である。
それがために、東條とは対立している。

石原は兵士を「人間」として扱い、東條は「軍備」として扱った。
今の社会に必要なリーダーは石原の方であることは明らかだろう。
本来必要とされている力が、人間関係によって発揮できないことで歴史が大きくマイナスに動く。
これほど悲しいことはないだろう。

繰り返すが、「歴史を学ぶ」ということは決して過去の出来事を暗記することではない。
過去の出来事を知り、「自分だったらどうするか」ということを考えることが大事なのではないだろうか。

【書評】例えば東京までの往復2時間の通勤時間を、輸送時間に変えることができます『しょぼい起業で生きていく』

起業と聞けば、ついついハードルの高さを想像し躊躇ってしまう。SNSで見かける起業家やフリーランスの活動は確かに憧れるほど素敵なものに映るが、初めからそうだったわけではない。それではどのように過度なリスクを背負わずに起業できるのか、本書は実体験をもとに教えてくれる。

タイトルにもあるこの“しょぼい”というスケール感だが、どの程度のものと考えて置けばいいのだろう。人によって違うとは思うが、“いざという時に逃げられるかどうか”がしょぼいかどうかの一つの基準ではないだろうか。もしも失敗してしまった時に逃げられない状態になりそうであれば、それはきっとしょぼくない方の起業だ。著者の言う“しょぼい”と読者個々の“しょぼい”は補正が必要かもしれない。

その上で本書ではしょぼい起業のためのヒントが散りばめられている。その一つが“生活の資本化”だ。これは今の生活の中にあるものを、そのままビジネスのための資本として活用するという考え方だ。新たに生み出す必要も大きなコストをかけて手に入れる必要もないため、いざ失敗してもすぐに逃げればそれでいい。痛手はほぼ負わずに済む。

“結局起業で成功するのは一部の天才”、そう思っている方は多いだろう。結局そうなのかもしれない、ただ、そうではないかもしれない。それを確かめるためには結局自分で動き出すしかない。確かめてみたい、そう思った方はぜひ本書を手に取ってほしい。初めの一歩をどのように踏み出せばいいか本書は教えてくれる。

しょぼい起業で生きていく

しょぼい起業で生きていく

【書評】mixiのモンストがなぜうまくいったのか?それはコミュニケーション設計と最強のロジック『自己破壊経営』

インターネットの発達とともに、見ず知らずの人との、無記名で顔の見えないコミュニケーションが発達して来ました。それを「バーチャルソーシャル」、それに対して、友達や家族などの近しい間柄のことを「リアルソーシャル」と呼びます。

mixiは「リアルソーシャル」のコミュニケーションについて考え抜いた会社です。そうして考え抜いて生み出されたプロダクトが、「モンスト」でした。

モンストが流行したことを誰もが知っていると思いますが、実はその背景として、「mixiパーク」というサービスの失敗があります。
その原因は、①体制②マネタイズ③ゲーム内容、の3つ。
①に関しては、「事業内容コミュニケーションシート」を作ったり、メンバーの言葉の統一化などで対策をしました。
②に関しては、イノベーター理論に基づいて、一気に広めるのではなく、最初の100人が「燃えるように熱いユーザー」になるようにして、広報戦略を立てることで対策をしました。
③に関しては、ゲームの内容をよりゲーム性の強いものにすることで対策をしました。

「モンスト」は、楠木建さんが書いた「ストーリーとしての競争戦略」で紹介されるフレームワークを使い、戦略を練ったことがうまくいった秘訣だと考えられます。

それは、コンセプトとそれを達成する戦略パスを4つ設けることです。

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コンセプト:B.B.Q(バーベキュー)
特定の顧客:友達や家族と盛り上がってみんなでワイワイしたい人たち
①対戦型ゲーム
バイラルマーケティング
③ユーザーサプライズファースト
④メディアミックス
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①対戦型ゲームの良いところは、予知できないことが起きることでより緊張を生み出せること。そこをうまく取り入れました。

バイラルマーケティングのバイラルとは「ウイルス性の」という意味。招待制を使って、うまく集客を成功させました。それは、ユーザーが家族や知人に招待したいと思わせるようなフックが鍵でした。

③ユーザーサプライズファーストでは、常に顧客の期待を上回ることを実現させました。それは、過去の成功を自己破壊することと定義されています。

④メディアミックスをすることで、幅広いユーザーに対してアプローチをすることが可能です。大きな広報となったのはやはりyoutuberによる紹介動画でした。

そのようなフレームワークに沿った戦略を事細かに練ることで、「モンスト」は成功したのだと考えられます。  

自己破壊経営 ミクシィはこうして進化する

自己破壊経営 ミクシィはこうして進化する

【書評】平成が終わる前に読むべき、平成が終わってからじゃ遅いですよ! 『平成くんさようなら』

芥川賞ノミネート作品。
平成くんから「安楽死を考えている」と告げられた恋人の愛ちゃんの視点で本書は書かれている。

平成(ひとなり)くんは平成のはじまりに生まれ、「平成くん」と呼ばれることで平成の時代を象徴する人物のようにメディアに取り上げられる。人は自分の人生の終わりまで決められるような時代になってくるのかなと考えさせられるが、でも決して死を安易に考えてはいけないと忠告されているようにも思える。愛ちゃんと平成くんが安楽死の現場を取材に行ったところでは、「うわぁ〜」思う場面もあります。

平成が終わることで自分は終わってしまうから安楽死。という考えは果たして正解なのか。
合理的で性的接触を嫌う平成くん。
愛ちゃんは平成くんの思いを知ることで理解していき、平成くんは愛ちゃんの思いを理解していくことで決断していく。便利機能がある世の中、平成くんは自分の中にあるものを言葉で愛ちゃんに伝えていく。愛ちゃんはその思いをちゃんと受け止める。

平成くんをよくわかっている愛ちゃんの気持ちになるとなんとも言えない気持ちになる。「ねぇ、グーグル」と話しかけるように「ねぇ、平成くん」と平成くんに話しかける愛ちゃんが度々でてくる。2人のやりとりが愛らしく、その分最後は涙が止まりません。

本書の中には、グーグルホームや、UBERなどの便利機能が出てきたり、ZOZOTOWNの前澤社長などの有名人がでてきたり、近年話題になったニュースがでてきたりと、人の生活がぐっと変わった平成という時代を強調しているように思えました。

平成が終わるからといってなにもかもが終わるわけじゃなくて、むしろ続いていくとおもいますが、自分の人生の終わりを考えると、まだそこまでいってなくて、今を精一杯生きようと思えました。 

平成くん、さようなら

平成くん、さようなら

【書評】織田信長とハンニバルが組んで土方歳三と戦ったりする漫画『ドリフターズ』

本作はドラマ化などもされて有名だとは思うが、歴史上の英雄がバンバン出てきて戦争をするファンタジー作品である。

主人公は織田信長那須与一島津豊久それぞれ現実の世界から、何らかの手、理由によって異世界へと飛ばされる。

異世界はエルフ、オーク、竜、巨人などがいる物語のような世界。そこにやってきたものは「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれている。織田信長らはそこでその本来の性格からか国取りを始めるという物語だ。

本作の面白い点は例えば織田の軍略への天才性を書いたりしている点だ。織田の時代にはなかったマシンガンを見た織田は、固まって銃を撃つ時代ではない、槍兵など無意味、散兵がこれからは必要だなど、すぐに本質を見抜き戦い方を変える。

時代が違う武器や神話の世界のような能力、戦力格差があっても戦略を練りしっかり攻略していく、そこが読んでいてすごく楽しく爽快。政治や経済などにより世界が変わっていく様子も圧巻。まだ6巻だがこれからが楽しみだ。ドリフターズ(1) (ヤングキングコミックス)

【書評】まだ画一的な教育を続けますか?『「学びの責任」は誰にあるのか』

本書では「責任の移行モデル」という教育方法について例を交えながら説明している。
自転車に乗れない子どもが徐々に補助輪や親の手から離れていくように、生徒の学習にも「先生が教える」「先生と生徒が学ぶ」「生徒同士で学ぶ」「生徒が自分で学ぶ」の4つの段階がある。

4つの段階のどの説明ページにも共通して載っているワードがある。
それは「診断的評価」だ。
学期末に行うテストのような「総括的評価」が、生徒への評価の大半を占めている現代。
だが本当に大切なことは、途中で生徒たちがどの段階にいるかを教師が「診断」し、把握することではないだろうか。

現在の教育は画一的だ。
生徒によって学習の段階が違うのに、いつまで「公平な扱い」のもとで一斉授業を続けるのだろうか。
生徒それぞれが出来ていないところに焦点を当て、それが出来るように段階に合わせた方法で促す。
教師はそのように生徒一人一人にとっての「サポーター」であるべきだ。

教育をするのは教師だけではない。
親だって「教育」をしなければいけない。
会社に勤めていれば、後輩を「教育」しなければいけない。
教育は避けて通れない道なのだ。
だからこそ教育方法について学ぶことは、今の日本にとって意味があることなのだと私は思う。

今後は4つの段階において「どうやって」教育活動をするかがポイントになってくる。
なぜなら、指導書通りの教育はAIでもロボットでも出来るからだ。
そんな時代はすぐにやってくる。
生徒が今どの学習フェーズなのかを観察、診断し、自分ならその段階で「どうやって」教えるかを考える必要がある。  

「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる

「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる

【書評】職業「遊び人」とは? 『PLANETS vol.⑩』

本誌は、本誌編集長である宇野常寛氏が運営するオンラインサロン「PLANETS CLUB」の協力のもとに発行された。

宇野氏が提唱する「遅いインターネット計画」や「チームラボの挑戦」、「シリーズインタビュー」など、複数のコンテンツが掲載され、とても興味深い内容が満載である。

その中でも最も印象深かった記事、シリーズインタビュー「この人と始めるこれからのはなし」宇野氏が直接、児玉健氏へインタビューした『遊び人をアップデートせよ!』について紹介する。

児玉氏は、サラリーマンとして不動産営業の仕事をしていた経験もあるそうだが、そのまま継続していく人生と新たな道へ進む人生、どちらが面白い人生になるかと考え、退職したそうだ。もちろんその当時は、今の姿を想像していない中での決断だ。

そして、現在は「プロの遊び人」として世界中で活躍している。なかなか想像しがたい職業だが、その主な活動は「プロ人狼プレーヤー」「ゲームマスター」として「人狼ルーム」を複数運営し、また宇野氏ともそこで出会ったそうだ。

さらにもう一つの職業「けん玉パフォーマーZOOMADANKE」として、けん玉を広めるパフォーマンスを行っている。このように「遊び」も児玉氏にかかれば、職業として成り立っていくのだ。

今後のAI化の導入等により、必然的に世の中は変化し、人々の余暇は増加する。「遊び」が仕事になる時代がやって来るといわれているが、児玉氏はすでに、その先端を走っているということだろう。

児玉氏は、評者が所属するオンラインサロンHIU(堀江貴文イノベーション大学校)での、イベントがきっかけで知った。まさに職業「プロの遊び人」というのが相応しい雰囲気であった。本誌には、コミュニケーションが苦手と書かれているが、まったくもってそうは感じさせないところもプロの技なのだろう。

その際に体験した遊びは「チャンバラ合戦」というものだ。初めはどんな遊びなのか想像できなかったが、勝利を目指し各グループが一丸となり、夢中で楽しめた。大人になってからの「遊び」で一番記憶に残っている印象深いものとなった。

しかし正直なところ、この面白さを文章で表現するのは、非常に難しい。やはり体験した人でないとわからないものなのだ。

大人になると誰しも新たなことにチャレンジする機会が少なくなり、同じことが繰り返される。しかし自分の知らない世界を知り、体験できるということは、自分自身の成長にも大きく繋がり、そこからまた新たな発見や発想が生まれる。

来る2月2日に六本木でこの「チャンバラ合戦」が再び開催される。今回は、本誌編集長の宇野常寛氏他豪華ゲストが参加する予定だ。もちろん一般の人も参加できる。

是非新たな体験をし、遊びをアップデートしてみてはいかがだろうか。

詳細については、こちらから
https://expo.horiemon.com/

 

 

PLANETS vol.10

PLANETS vol.10

 

 

【書評】はじめての回らないお鮨『ごほうびおひとり鮨 』

本作はOLが実在する鮨屋でただただ1人鮨をしている漫画である。鮨屋の雰囲気、値段も分かり、鮨好きだけでなく、鮨デビューにもってこいの作品だ。

主人公のは三十路のOL10年付き合った彼氏に振られたばかり、「なにかぜいたくしてやる!」と、思いたどり着いたのが鮨だ。

はじめての時は予約もせず飛び込みで鮨屋に行き、出てくるつまみ、鮨をひたすら食べふと我に帰る。「いったいいくらするんだろう値段がない。」しかし値段はお酒も飲んで1万7000円。この値段で非日常を楽しめる鮨にのめり込む。

鮨屋の親方が丁寧な仕事をしているのを見て、会社での自分の仕事を反省したり、鮨屋から学んでいく主人公、新たな彼氏はできるのだろうか。

2話で1軒の鮨屋が紹介され、1巻につき5軒。鮨好きは鮨屋情報収集にも、そして何より鮨屋デビューにオススメの一冊だ。

【書評】近い将来に起こる?この漫画は予言の書となるのか 『空母いぶき』

F35の垂直離着陸機来年度予算で採用され、海上自衛隊護衛艦いずもに搭載されるというニュースが流れたのはつい最近の事。

その時思ったこと。
『漫画、空母いぶきが現実になるかも?』

この漫画は、度重なる中国の挑発に対して、日本政府が予算をつけて、空母いぶきを竣工するところから始まります。
そして、中国軍が尖閣諸島与那国島宮古島などを攻めて島を奪われてしまいます。

スタートから中国ならこう裏をかいて攻めて来そうだというリアリティーのある展開から始まり、話が進むにつれ、現代の海戦はこう展開して行くのか。と非常に興味深く読み進めることが出来ます。
専守防衛という手足を縛られた状態の自衛隊と自由に戦争を展開する中国軍。
読んでいていちいちギリギリとします。

そして、なんとも激アツなのが、自衛隊の潜水艦の活躍が描かれていること。
世界最強の実力を持つと言われている日本の潜水艦。
なぜ世界最強と言えるのかというと、日米の海軍が共同訓練をするリムパックで、日本の潜水艦は何度もアメリカの空母を撃沈しているそうです(もちろん訓練でですが)
世界最強の空母打撃群を持つアメリカの虎の子の空母を撃沈できてしまう日本の潜水艦。
世界最強と言っても良いかと思います。

その海上自衛隊の潜水艦がどう中国軍の原子力潜水艦を欺き、中国の護衛艦に近づいて攻撃に行くのか。
どう逃げ帰るのか。

最新刊ではその描写にハラハラさせられます。

近未来に起こるかもしれない日中の衝突に備えて、空母いぶきで予習しておく必要があるのではと、いずも空母化のニュースが出た時に思ったのでした。

空母事典 (イカロス・ムック)

空母事典 (イカロス・ムック)