一般に売上は多いほど良いと思われがちだが、売上が上がれば単純に利益も上がるわけではない。東証プライム上場企業の創業社長である著者の頭の中を覗けるのがこの本だ。
著書の木下 勝寿氏をご存知だろうか。
朝倉未来とヒカルが仕掛ける起業リアリティーショー「Nontitle Season3」に投資家の立場で出演していたので知っている人も多いかもしれない。
朗らかな雰囲気と的確な指摘に魅せられ「この人の考えを知りたい」と思い本著に出会った。
著者の経営する「北の達人コーポレーション」は2012年札幌アンビシャス市場に上場後→2013年札幌証券取引所本則市場→2014年東証スタンダード、2015年東証プライムと史上初の4年連続上場を果たした会社だ。
また、2020年2月期に売上約100億円、営業利益は約29億円とEC業界で図抜けた営業利益率を誇っている。
本著の中で『一般にはまず売上を最大化し、コスト削減しながら利益を出すが、当社は利益目標が先にあってその目標を達成する最小の売上目標を考える』と記載がある。
利益重視の考え方にはEC業界で長く事業を営んでいる著者の考えがある。
『ビジネスにはトラブル、不況はつきもの。トラブルは売上に比例する。商品数、顧客数が多いからだ。だから利益重視の経営が必要。』
私自身も売上を上げようと頑張っていたものが相対的に利益率が低かったという経験があり上記の言葉を身に染みる。
利益が大事なことは理解していても、年商などの売上規模に目がいきがちだ。
利益重視の経営が改めて大事だと気付かせてくれた優しい一冊。