日本のアニメ、漫画や小説の「キングダム」「三国志」「項羽と劉邦」を読んだ後、または、読みながら本書を読むのも面白いと思います。本書は中国史にあった謀(はかりごと)についてマンガでも描かれており、わかりやすく解説されています。敵をどうやって欺(あざむ)くか、どうやって勝つか、負けるときはどうやって引いて挽回するかなど、非常に興味深いです。そして、今のチャイナも実は「瞞天過海(まんてんかかい)」という兵法を用いて成長してきました。
「瞞天過海(まんてんかかい)」とは本書を引用すると
【天を瞞(あざむ)いて海を過(わた)る】
【「瞞天過海」の「天」は皇帝のことで、全体で「皇帝をだまして平穏無事に大海を渡る」という意味になる。露呈されているものに秘計を隠し、見慣れていると少しも奇妙に思わない錯覚を巧みに利用して、軍事的な目的を実現することをいう。】
後漢の末期、隋朝が中国を再統一した話を、本書ではマンガで語られています。敵に悟られず目的を達成する、狡猾で忍耐のいる手法とも言えます。
さて、今の中国もこの兵法「瞞天過海(まんてんかかい)」を用いています。アメリカやヨーロッパ、日本などを中国が「我々は民主化する」と欺きながら成長してきました。この時の「天」とは各国の首脳またはその側近や政治家と言えるでしょう。そして、当時のソ連をも利用しながら平穏無事に経済成長を遂げ、世界第2位の経済大国、軍事大国となり上がりました。この詳細につきましては以前の書評「China 2049」(※1)をご覧ください。
昔も今も利用できる兵法書、興味ある方は是非、ご一読ください。
(※1 【書評】実スパイシリーズ8、国家100年の計はスパイから!『China 2049』)
https://bookrev.horiemon.com/entry/2023/07/11/220000
発行 1998/8/26
著者 武岡 淳彦 (解説), 鈴木 博 (翻訳), 尤先瑞 (イラスト),
出版社 集英社