孫氏の兵法を元に、歴史的事実を踏まえて解説されており、わかりやすいです。特に相手を理解することが最重要です。【彼を知り己を知れば、勝(かち)乃(すなわ)ち殆(あや)うからず。】有名な兵法の言葉です。日本が相手国を理解せずに政策を進めた結果、チャイナに莫大なお金を渡し続けるはめに。チャイナにそんなにお金だすなら日本の税率を減らしてよ!!と日本政府に言いたくなりました。理解しないでいるとどうなるか、他の実例を挙げて見ていきましょう。
兵法で一番大事なのは相手を知ることです。著者はこう述べています。
【日本人は、敵を知らなければいけないのです。】
その兵法がこちらになります。
【彼を知り己を知れば、勝(かち)乃(すなわ)ち殆(あや)うからず。
天を知り地を知れば、勝乃ち窮(きわ)まらず。】
相手を知らないのは、相手に利用されるだけです。そして、一番危ういのが「相手を知った気でいる」ことです。特に地政学でいえばチャイナ、北朝鮮、韓国、ロシア、台湾などの国を日本人が良く知ることは大事です。
日本はチャイナという国をよく理解しないでODA(政府開発援助)を出し続けて、その額は7兆円以上と言われています。そして、チャイナは民主化せずに共産主義のまま存在しています。
でも、チャイナも日本の事を良く知らなかったこともありました。日本政府もうまく対応しました。本書の引用です。
【シナ人はこちらが低く出れば向こうも低く出るというような国ではない。その証拠に、江沢民が来日して、「戦争責任を認めるサインをしろ」と言ったとき、小渕首相は「これが最後ならサインしよう」と答えた。ところが、江沢民はその約束をしなかった。】
しかし、韓国はどうしたかというと、
【韓国の金大中大統領のときは、「これを最後にしますから」と一札とって「それでは」とお詫びを書いた(本当はその必要もなかった)。それ以後言ったら、向こうの違反です。】
そして、今はどうかというと、ずっと引きずっていますよね。一国の首相がサインすると相手がルールを守らない場合が厄介です。こういう風に相手を知ることがどれだけ重要かがわかります。好きな人が出来た時も相手を知ることが大事ですよね。
他にも兵法を用いた実例があり、日常生活にも役立ち、戦略を立てるよい一冊にもなります。兵法を学びたい人、日常生活に役立てたい人、戦略を学びたい人、現代史・近代史を学びたい人にお勧めの一冊です。
発行 2003/10/2
著者 渡部昇一、谷沢永一
出版社 PHP研究所