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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】実スパイシリーズ3、コミンテルンって何だ⁉︎。『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』

スパイの某アニメでW諜報員ってありましたが、実際にも諜報員、工作員、まとめて言えばスパイなんていっぱいいたそうです。今でもですけど。自国を有利にするために、他国に潜入してスパイ活動をしたり、ダブルスパイをしたりとスパイ業務も命がけ。そんなスパイ活動をしていたのが、実在した組織「コミンテルン」です。聞き慣れない名前ですが年配の方はご存知なはず。では、コミンテルンとは何か?スパイはどんなことをするのか?自分がだまされないためにはどうすればいいのか?気になる方は是非ご一読下さい。

私が「コミンテルン」という言葉を初めて知った本で、初めて「共産主義」というものを学んだ一冊でした。この本を読んでから共産党というのはどういうものか調べたりしました。共産党の方が街頭で配っているビラを取って、上司に「おまえ、赤か?」と言われたのも覚えています。勿論、赤ではありませんが。

ここ100年ちょっとの歴史を振り返ると資本主義と共産主義の戦いである気もします。本書では
「二十世紀は、ソ連コミンテルンとの戦いだった。ソ連コミンテルン共産主義を抜きにして二十世紀を語ることができない。」とも書かれています。
それではコミンテルンとは何か、そして、そのスパイ活動はどんなことなのかについて本書を引用しながら見ていきましょう。

まずはコミンテルンの名前の由来です。
コミンテルンとは、ロシア革命に成功したソ連のウラジミール・イリイチレーニンが世界共産主義革命のために創設した『共産主義インターナショナル(Communist International)』(第三インターナショナル)の略称である」
共産主義の組織ってことですね。

それではここでいう共産主義とは何か?
共産主義とは、突きつめて単純化するならば、『生産手段を国有化して、一党独裁のもとで徹底した経済的平等をめざす考え方』だ」
つまりは、私有化は認めず、国が全部没収して国有化するよ~みたいな感じです。そして、それが既得権益となり、権力闘争が起きそうですね。権力が集中すると国民の財産を独り占めみたいな感じですかね。こういった思想を広めたかったのでしょう。

それではスパイ活動の一例を見てみましょう。
コミンテルンの手法は、内部穿孔(せんこう)工作といって、政府や議会、団体、軍部、マスコミなどに入り込んで内部からその組織をコントロールしようとするのだ」
そして、「思想的政治的な影響力を行使し、政策をゆがめること」です。

これは近衛文麿内閣にもぐりこみ政策方針を誘導したゾルゲと尾崎秀美みたいですね。(これに関しては以前の書評を参考にしてください<https://bookrev.horiemon.com/entry/2023/06/24/220000>)
日本政府にもぐりこんでいたスパイはゾルゲと尾崎だけではありません。また、スパイ以外にも共産主義の新派が協力していたり、情報に流されて人たちが知らず知らずのうちに協力していたりしました。コミンテルンは人を利用するのが上手いとも言えます。

感情的にならず、良い悪いでなく、こういうことが起こっていたというのを認識しないといけないと思いました。自分も情報に流されずにリテラシーを上げて、判断していかなければならないと思う一冊でした。

発行   2017/8/10
著者  江崎道朗(えざき みちお)
出版社 PHP研究所