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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】実スパイシリーズ6、夫妻でスパイをしていたの!!『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』

 夫がスパイ&妻が殺し屋みたいな某スパイマンガ・アニメのように、現実でも夫妻でスパイをしていた記録がある。夫のコードネームは【リベラル】。スパイ夫妻がしたことは歴史的に悲惨な出来事に関わっていた。日本人なら誰もが知っているあの出来事・・・

 1943年、第二次世界大戦(大東亜戦争)の中、アメリカのFBIはアメリ共産党員の行動を調べるため「コミンテルン機関」(※1)と名付けた捜査を開始した。そこで、アメリ共産党ソ連が一緒になってスパイをしていることを掴んだ。

また、本書ではコードネームでなくカバーネームと言われる仮名が使われる。ソ連の暗号通信を傍受して解読する作戦「ヴェノナ作戦」(※2)でNSA(アメリカ国家安全保障局)は複数のカバーネームの人物がいることを掴んでいた。そして、カバーネームの人物を特定するためFBIとNSAが協力し、カバーネーム【リベラル】ら約100名を暴き出した。

カバーネーム【リベラル】はエセルという女性と結婚しており、【リベラル】はジュリアス・ローゼンバーグだと確定された。夫妻は原爆工場で働いており、機密情報をソ連に渡していたのだ。しかし、残念ながらこれが判明したのは戦後の1950年頃だった。歴史に「もし(if)」はないが、もっと早く解読されていれば日本に原爆は落とされていなかったかもしれない。

本書は公開文書に基づいていて、引用文献も明確なので信頼性高い著書といえるであろう。気になる方は引用された公開文書で本書との整合性を確認するのも面白いはずだ。是非、手に取って頂きたい一冊である。

※1 「コミンテルン」が何かについては下記の書評をご覧ください。
https://bookrev.horiemon.com/entry/2023/06/26/220000
※2 「ヴェノナ」が何かについては下記の書評をご覧ください。
https://bookrev.horiemon.com/entry/2023/06/22/220000

発行  2016/8/31
著者  江崎道朗(えざき みちお)
出版社 祥伝社